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HPLCカラムの寿命は何か月?寿命を延ばす方法も紹介!

2022.08.18 (Thu)

  • HPLC
  • カラム

記事を書いた人 :

bunseki-keisoku

延ばす方法

HPLCカラムの寿命は、どのくらいかご存じですか?HPLCカラムの価格は、1本数万円~20万円もするものもあるので、できるだけ同じカラムを長く使いたいですよね。
この記事では、HPLCカラムの寿命について解説し、寿命を延ばす方法についてもお伝えします。また分析計測ジャーナルでは、HPLCカラムについてのご相談もお受けしております。お気軽にお問い合わせください。

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HPLCカラムの寿命は?

HPLCカラムの寿命は、明確に決まっていません。なぜなら分析条件や使用頻度によって、カラムの寿命は異なるからです。また同じ種類のカラムであっても、ロットによって同じ使い方をしているのに寿命が違うこともあります。
HPLCカラムの寿命は明確に何か月と言い切れないので、研究者が寿命を見極めなければなりません。またカラムは高価なので、できるだけ長く使いたいと思いますよね。そこでカラムの寿命を少しでも延ばす方法や、劣化させてしまうので避けたほうがいい使い方もお伝えします。

HPLCカラムの寿命を見極めるポイント

ポイント

カラムの寿命がきたかどうかは、研究者が見極めます。カラムが劣化すると次のような状況が見られます。

  • 理論段数の低下
  • 圧力の上昇
  • ピーク形状の悪化

クロマトグラムの理論段数と測定中の圧力は、日常的に把握しておくと異常に気づきやすいですよ。
カラムが劣化した際に見られるピーク形状の悪化には、下の3つの形状があります。

  • ブロードなピーク
  • ピークが割れる
  • 肩ピークがある

HPLCのピーク形状にお悩みの場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

HPLCのピークがおかしい!6個のトラブル別に原因と対処法を解説

HPLCカラムの寿命を延ばす方法3選!

3選

HPLCカラムはひと手間を加えて大切に使うと、寿命を延ばせます。これからカラムの寿命を延ばす方法を3つ紹介するので、やっていなければぜひ試してみてください。

カラムの洗浄

カラムの洗浄は測定試料ごとに毎回洗浄するものと、全ての測定が終了したときに洗浄するものがあります。それぞれ詳しく解説します。

試料ごとの洗浄

1つの試料を測定するごとに洗浄プログラムを入れておけば、カラム内に残っている成分を流せます。逆相HPLCの場合、目的成分の溶出後の有機溶媒比率を上げると溶出しにくい成分を出せます。

測定終了後の洗浄

全ての測定が終了したあとのカラムを取り外す前に、洗浄をするとカラム寿命を延ばせます。移動相に含まれるイオンペア試薬や酸が残っていると、加水分解が起こり劣化の原因になります。そのため全ての測定が終わったら、緩衝液を含まない移動相で洗浄するのがおすすめです。洗浄時間は、内径4.6mmのカラムであれば1mL/minの流速で20~30分程度です。

試料溶液の前処理でフィルターを通す

試料溶液には目的の成分以外に、さまざまな物質が含まれています。中には溶解しきれない不純物も含まれ、サイズの大きな不純物はカラムに絡まります。一度カラム内に入ってしまった不純物は、内部を通過できずに出てきません。そのため事前に不純物は除去しておきましょう。
試料溶液の前処理には、フィルターろ過が有効です。HPLCでは0.45μmのフィルター、UPLCやLC/MSでは0.2μmのフィルターを使えば、カラム内に不純物を持ち込みません。フィルターの種類は多く、選び方に悩むこともあります。前処理フィルター選びに悩んだら、こちらの記事も参考にしてみてください。

HPLC試料用前処理フィルターの選び方|フィルターの疑問を解決!

ガードカラムを使う

ガードカラムは、分析用カラムを守る役割があるカラムです。分析用HPLCカラムの直前に装着して使用します。ガードカラムは分析用カラムに入る前に不純物をキャッチし、高価な分析用カラムを守ります。ガードカラムは分析カラムの1/3~1/10程度の価格です。そのため特に価格が高い分析用カラムを使うなら、ガードカラムの装着をおすすめします。ガードカラムの選び方については、後ほど詳しく解説します。

HPLCカラムを劣化させる6つの失敗

失敗

HPLCカラムの寿命を短くしないために、使用時に気をつけることがいくつかあります。もし間違った方法で使うと、カラムの劣化につながります。ここではよくある、カラムを劣化させてしまう6つの失敗について解説します。事前にどんな扱いをするとカラムに悪いのか、把握しておくとミスを防げますよ。

カラムの使用条件を逸脱

HPLCカラムの使用条件は、製品によって次の3つ項目が決まっています。

  • pH
  • 温度
  • 最大圧力

使用条件はカラムの取り扱い説明書に記載されています。初めて使うカラムを手にしたら、必ず使用条件を確認しましょう。もし条件を逸脱して使用すると、充填剤の劣化につながります。
またカラムによっては、使用禁止の溶媒があります。これから測定する移動相に禁止溶媒を使用していなくても、HPLC機器内には前に分析した溶媒が残っている可能性もあります。そのため流路は全て新しい移動相に置換してから、カラムを接続してくださいね。

不純物がカラム内に混入

HPLCカラムの充填剤の粒子径は2μm~10μm程度の微細なサイズです。そのため移動相や試料溶液に大きなサイズの不純物が入っていると、カラム内部にひっかかります。溶解しない不純物はカラム内に留まり続け、カラム分離能を悪化させます。

高圧力で充填剤に偏り

流速を速くしすぎると、カラム内部の圧力が高まります。強い圧力で押された充填剤は、流速方向に偏ります。充填剤が均等でなくなると、分離能が悪くなったり理論段数が下がったりするので、高圧には注意が必要です。

接続方向を間違える

カラムの接続は、向きが決まっています。カラムには1本ずつタグがついており、接続方向も矢印で記載されているのでチェックしてみましょう。通液を逆にしてしまうと、充填剤の性質や配置に影響が出ます。そのためカラムを接続するときは、しっかり表示を確認してから接続してくださいね。

内部の液体がなくなった状態で放置

HPLCのカラム内部は、常に液体で満たされていなければなりません。分析中に移動相が枯れてしまった場合、カラム内部の液体もなくなっていることがあります。カラム内部が空の状態で放置してしまうと、充填剤が劣化してしまうので移動相を枯らしてしまった場合は急いで新しい移動相を流してください。

また長期間カラムを保管する際、キャップをしっかりと閉めていなければ内部の液体は蒸発して、なくなります。そのため保管時は、キャップを強く閉めておきましょう。

カラムの付け外し方法を誤る

カラムを機器に付け外しする際、手順を間違えると充填剤が偏ることがあります。装着するときは、出入口のキャップを外したことを確認してから流速を落とした状態で接続してください。たまに出口側のキャップを外すのを忘れて、装着してしまうことがあります。カラム出口が開いていない場合、カラム内部の圧力が急激に上がり充填剤が偏ってしまいます。

カラムを取り外すときは、送液を止めてポンプ圧力が0になったことを確認してから外してください。圧力がかかっている状態でカラムを外すと、カラム内部の圧力が急激に下がり充填剤の偏りの原因になるのです。

ガードカラムの選び方

HPLCカラムの寿命を延ばすために、ガードカラムの装着がおすすめです。しかしガードカラムの種類は多く、どれを選べばいいのか難しいです。ここでは、ガードカラムの選び方を詳しく解説します。ガードカラムの選び方のポイントは3つだけで、どれも簡単ですよ。

ガードカラムの形状は2種類

ガードカラムの形状は、次の2種類があります。

  • 充填タイプ
  • カートリッジタイプ

充填タイプは、分析カラムに直接接続して使えます。カートリッジタイプは、専用ホルダーの中にカートリッジを入れてから分析カラムにつないでください。カートリッジ式のほうが安価で、ガードカラムの交換頻度が高い場合におすすめです。

充填剤はメインカラムと同じ

ガードカラムの充填剤は、メインカラムと同じものを選びましょう。ガードカラムには、わずかに成分を分離させる機能もあります。そのため異なる種類の充填剤を選ぶと、メインカラムに入る成分の順番が変わり、測定結果に影響を及ぼすことも考えられます。

長さと内径

ガードカラムの長さは、10~50mmを選んでください。内径はメインカラムと同じか、細くても構いません。カラムメーカーのカタログを見ると、メインカラムに対応するガードカラムが記載されているので選びやすいです。
ガードカラムは毎回分析カラムからは外さず、接続した状態で保管しておくと次に使うときに取り間違えを避けられますよ。

まとめ

まとめ

HPLCカラムの寿命は明確に決まっていません。HPLCカラムの寿命を見極めるポイントは、以下の3点です。

  • 理論段数の低下
  • 圧力の上昇
  • ピーク形状の悪化

HPLCカラムは使い方を誤ると寿命が短くなります。また次の3つを実践すると寿命を延ばせます。

  • カラムの洗浄
  • 試料溶液は前処理フィルターでろ過
  • ガードカラムを使う

高価なHPLCカラムは大切に使って、できるだけ長持ちさせましょう。分析計測ジャーナルでは、HPLCカラムやガードカラムのご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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分析計測ジャーナルライターバッハ

ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。

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