
マイクロピペットのチップはさまざまなメーカーから販売されています。またチップのタイプも多く、どれを選べばいいのか悩ましいです。ピペットの純正メーカーのチップなら安心して使用できそうですが、それ以外のメーカーからも販売されているチップは互換性があるのかどうかも気になると思います。
そこでこの記事ではマイクロピペットのチップについて、選び方と純正・非純正メーカーの価格もご紹介しますので、チップ選びの参考にしてみてくださいね。さらに正しいチップの使い方もお伝えするので、これまで何気なく使っていたなら要チェックです。
分析計測ジャーナルでは、マイクロピペットのチップに関するご質問を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
マイクロピペットチップの選び方

マイクロピペットのチップは種類が多く、用途に応じて必要な機能を選ぶ必要があります。マイクロピペットのチップを選ぶ際に確認するポイントを、6つご紹介します。
- フィルターの有無
- バルクタイプとボックスタイプ
- 滅菌済みやオートクレーブ対応チップ
- 特殊な形状
- チップの素材
- チップのサイズ
フィルターの有無
フィルター有りのチップは、チップ上部にフィルターがついています。フィルターはピペット本体へ試料が混入しないよう、ガードする役割です。ピペッティングする際、液はねや目には見えないエアゾルが発生することがあります。フィルターがあればピペット本体が汚染されることなく、コンタミのリスクも減らせますよ。
有害な物質やピペット本体を劣化させてしまうような試料を扱う場合、フィルター有りを選びましょう。フィルター無しのチップは有りのものに比べて安価です。ピペットを都度洗浄できたり、コンタミのリスクを許容できる場合は、フィルター無しでも問題ありません。
バルクタイプとボックスタイプ
バルクタイプとは、チップが大袋に1000本や200本などの量が入っているものです。ボックスタイプに比べて安く、大量にチップを使用するならおすすめです。大袋に入っているので、少しでもコンタミすると全てが汚染されるリスクがあります。そのためバルクタイプはコンタミに注意してくださいね。
ボックスタイプは96本が箱に入っているものが一般的です。蓋をあけるとすぐにマイクロピペットに装着でき、使用後は蓋を閉めて保管できるので使いやすいです。
滅菌済みやオートクレーブ対応チップ
無菌状態でマイクロピペットチップを使用するなら、滅菌済みのものやオートクレーブ対応のものを選びましょう。滅菌済みのチップは、γ線滅菌などが施されています。滅菌済みで個包装なら、使用しないものは滅菌状態が保持されるので便利です。滅菌済みでバルクタイプやボックスタイプのものは、クリーンベンチ内で開封して滅菌状態を維持しましょう。
オートクレーブ対応のチップは、使用前にオートクレーブで滅菌して使います。滅菌が不要な場合と無菌用を併用したいなら、オートクレーブ対応のものはいかがでしょうか。
用途に応じた特殊な形状
先が細長いチップは、ゲルの電気泳動のアプライ用に使いやすいです。ロングタイプは細長いチューブの先まで入りやすく、チップ外面の液残りが少ない特徴があります。細長い遠沈管の底の試料を採取するのにも、ロングタイプは活躍します。実験の種類によって、チップの形状を変えると精度がよくなることがありますよ。
素材をチェック
マイクロピペットのチップで使われている素材は、ポリプロピレンが一般的です。ポリプロピレンは薬品耐性に優れており、オートクレーブも可能なものが多いです。界面活性剤を含む試料を扱う場合は、低吸着用の素材でできたチップもあります。
マイクロピペットのチップサイズを確認
マイクロピペットのチップサイズは、ピペットの容量に応じて各種あります。チップラックやバルクの袋の色で容量を判別できるようになっているので、取り違えミスを防げますよ。色は各社ほぼ共通した配色になっているので、メーカーを変えてもわかりやすいです。一般的な配色は以下の表の通りです。
容量範囲 | 色 |
0.1μL~10μL | 赤色 |
0.5μL~250μL | 黄色 |
100μL~1000μL | 青色 |
0.5mL~5mL | 緑色 |
マイクロピペットチップの値段比較
マイクロピペットのチップは、本体の純正メーカーのものはもちろん、実験器具メーカーからも販売されています。1000μLのピペットチップ(96本ボックス入り/未滅菌/フィルターなし)を一例に、各社のピペットに対応するチップの価格を調査し表にまとめました。(価格は購入時に変動する可能性もあります。詳しくはメーカーまでお問い合わせください。)
対応ピペット | チップメーカー | チップ商品名 | 価格 | 1ボックスあたり | 出典URL |
GILSON ピペットマン | GILSON | D1000 Tipack | 6,800円 (10ボックス) | 680円 | エムエス機器 |
アズワン | ビオラモサクラチップ | 3,900円 (10ボックス) | 390円 | アズワン カタログ | |
ケニス | クオリティチップ | 5,900円 (100本×10ボックス) | 590円 | ケニス カタログ | |
Eppendorf Research® plus | Eppendorf | ep T.I.P.S® | 8,900円 (10ボックス) | 890円 | エッペンドルフ カタログ |
アズワン | フレンドチップ | 5,000円 (10ボックス) | 500円 | アズワン カタログ | |
ケニス | クオリティチップ | 5,900円 (100本×10ボックス) | 590円 | ケニス カタログ | |
Thermo Fisher フィンピペット | Thermo Fisher | フィンチップ | 14,300円 (10ボックス) | 1430円 | アズワン カタログ |
アズワン | MBPチップ | 6,900円 (100本×8ボックス) | 862円 | アズワン カタログ |
マイクロピペットのチップに互換性はある?
高い精度を求めるなら、各社のマイクロピペットに応じた純正チップが安心です。理由は、ピペット出荷時の試験では純正チップを用いて試験が行われ、精度が保障されているからです。
純正でないものは、価格が安いメリットもあります。実験器具メーカーで独自に互換性を確認しているチップもあり、非純正でも問題ない場合もあります。非純正のチップの精度が気になるなら、独自で精度を確認することも可能です。サンプル品を入手し、天秤を使って採取量を秤量すればチップの精度を確かめられるので、試してみてくださいね。
マイクロピペットのチップは使い捨て?使い回し可能?
チップは基本的に使い捨ててください。洗う手間とコンタミのリスクを考慮すると、使い捨てのほうが効率的ではないでしょうか。
しかし、どうしても予算が少ないために使い捨てにくい場合は、使い回している研究室もあります。使い回す場合は、コンタミのリスクと計量精度が落ちることを承知のうえ、使い回しましょう。使い回す際のチップの洗い方について、例を下記に示します。
①実験器具用の洗剤で洗う
②水道水と蒸留水で洗剤を落とす
③よく乾燥させる
マイクロピペットチップの使い方と注意点
マイクロピペットのチップの装着方法について、詳しく解説します。また注意点も3つ挙げましたので、確認してみてください。
マイクロピペットの全体的な使い方については、以下の記事も参考になります。
チップの装着①|ラックにセットされている場合

チップラックにセットされているボックスタイプのチップは、マイクロピペット本体を垂直に刺してチップを装着します。マイクロピペット本体を傾けずに持つのがポイントです。
ピペットを持っていない手でチップラックを支えると、装着時にラックが動かずしっかりチップをつけられます。
チップの装着②|バルクチップの場合

バルクタイプの場合、チップラックにチップを入れ替えて使用するのがおすすめです。しかしチップラックがなければ、チップの上部を持ち優しい力でピペット本体に装着することもできます。
このとき、チップとピペットが一直線になるように意識して持って装着しましょう。
マイクロピペットチップ3つの注意点
マイクロピペットのチップを扱う際に注意したいポイントは、3つあります。それぞれ詳しく解説します。
装着はやさしく
チップラックからの装着において、ピペットを叩きつけるようにガンガンと音を出して装着するのは避けましょう。ピペットが破損する可能性があります。また装着時にねじると、ノズルシリンダーが緩むので、気をつけてくださいね。
取り外しは慎重に
取り外し時は、液とびに注意しましょう。チップインジェクターがついている場合は、廃棄箱の中にチップをしっかり入れてからチップインジェクターを押します。手でチップを取り外すなら、汚染しているチップの先には触れないように意識し、根本の部分を持って外します。
適切な廃棄方法で
バイオハザードな試料を使用した場合は、チップをオートクレーブで滅菌してから廃棄します。滅菌せずに廃棄すると環境汚染につながるので、試料の安全性を確認し適切な廃棄方法を選びましょう。
まとめ

マイクロピペットのチップについて、選び方と価格や使い方をご紹介しました。チップを選ぶポイントは以下の6つをチェックしてください。
- フィルターの有無
- バルクタイプとボックスタイプ
- 滅菌済みやオートクレーブ対応チップ
- 特殊な形状
- チップの素材
- チップのサイズ
チップの価格はピペット純正メーカーのものは高めですが、精度が保障されます。非純正メーカーのチップの中には互換性のあるものもあり、価格が安いので検討してもよさそうです。
分析計測ジャーナルでは、マイクロピペットのチップ選びのご相談を承っております。またサンプル品の提供サービスも、メーカーによっては可能です。(お受けできない製品もあります。ご了承ください)お気軽にお問い合わせください。

ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。
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