試料調製に用いられるポリ材質(PP:ポリプロピレン / PE:ポリエチレン)の器具は素材に基づく疎水的吸着が問題となります。疎水的吸着の抑制には、試料への有機溶媒や界面活性剤の添加が効果的です。
しかし、HPLC およびLC/MSによる高感度定量には、添加物による分離やMSにおけるイオン化への影響を考慮する必要があり、試料調製の最適化条件の設定は複雑化します。
そこで今回は株式会社島津ジーエルシーの低吸着器具TORAST™-Hシリーズをご紹介します。
島津ジーエルシーが開発したTORAST™-Hシリーズは、非イオン性の親水性高分子ポリマーをPP表面に特殊な処理で固定化した低吸着器具です。非イオン性の親水性ポリマーを使用しているため、疎水的吸着の抑制にはもちろん、イオン的吸着にも気にせず使用できます。
また、特殊な処理でPP表面に固定化しているため、メタノールやアセトニトリルのような有機溶媒でも剥がれ落ちることはありません。
今回ご紹介する島津ジーエルシー製のTORAST™-H PP Vial (Screw) は、バイアル本体に特殊コーティングを施したペプチドや塩基性化合物に対し極めて低吸着なバイアルです。
吸着の影響が大きい低濃度試料分析の信頼性確保に貢献します。
シリーズで最も優れた低吸着性能
島津ジーエルシーオリジナルのPP製バイアルは4つのタイプに分かれ、それぞれ下記のような特長があります。(すべて小容量タイプです)
なかでも、2023年8月に新たにラインナップに加わった、TORAST™-H PP Vial (Screw) は、シリーズで最も優れた低吸着性能を示しています。
下図はバイアルにサンプルを添加し、0~24時間経過後にLC/MSで測定したときのピーク面積値です。TORAST™-H PP Vial(Screw)とTORAST™-H Bio Vial ではピークが検出できているのに対し、TORAST™ PP Vial(Screw)やTORAST™ PP Vialではピークが検出できていません。また、A社低吸着PP製バイアルは、サンプルの吸着によってピーク面積値が小さくなっています。
機能性と利便性を追求した4つの設計ポイント
TORAST™-H PP Vial(Screw)は、低吸着性能のほかにも特徴的な4つの設計ポイントがあります。
【TORAST™-H PP Vial(Screw)】
製品番号:370-04052-01(島津ジーエルシー)
バイアル材質:ポリプロピレン
キャップ色:黒
セプタム材質:PTFE/シリコン(スリットなし)
容量:300μL
入数:100
製品番号:370-04052-02(島津ジーエルシー)
バイアル材質:ポリプロピレン
キャップ色:黒
セプタム材質:PTFE/シリコン(スリットあり)
容量:300μL
入数:100
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