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実験用ガラス器具の寿命は?コンタミチェックや対策方法も解説

2023.01.12 (Thu)

記事を書いた人 :

bunseki-keisoku

実験用ガラス

化学実験で用いるガラス器具がいつまで使えるのか、ご存知ですか?破損はしていないけれど購入してから時間が経つと、正しい容量が量り取れているのか不安になります。そこでこの記事では、実験用ガラス器具の寿命についてお伝えします。またガラス器具が原因のよくあるコンタミトラブルについても実例を挙げ、正しい器具の洗浄方法や便利なアイテムについても紹介します。ガラス器具を使って実験しているなら、ぜひ参考にしてみてください。分析計測ジャーナルでは、ガラス器具に関するご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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実験用ガラス器具の寿命は?

化学実験で使うガラス器具の寿命は、一概に期間を限定できません。なぜなら、使用頻度や使い方、洗浄方法によってガラス器具の消耗度合は異なるからです。ビーカーやシャーレなどは破損するまで使えます。

しかし体積計は正確に容量を測定する器具なので、定期的に異常がないかチェックしなければなりません。実験用ガラス器具のうち、体積計は以下のような器具です。

  • メスフラスコ
  • ホールピペット
  • メスシリンダー
  • メスピペット
  • ビュレット

これらのガラス器具は、液体を正確に測るものです。そのため膨張や収縮、キズがあると、体積が異なり実験結果に支障をきたすことがあります。

ガラス製体積計のランクと寿命をチェックする方法

ガラス製体積計は長く使用していると変形などが原因で誤差が生じるので、寿命を定期的にチェックしなければなりません。またガラス器具にはランクがあり、実験のレベルによって用いるランクが規定されています。ガラス器具のランクと検定方法について、ご紹介します。

ガラス製体積計のランク

ガラス製体積計は、許容される誤差の大きさによってランク分けされています。ランクは日本工業規格(JIS R3505-1994)において、クラスAとクラスBの2つです。医薬品業界では日本薬局方において、JISクラスAのガラス器具を使用する旨が規定されています。また米国薬局法(USP)では、日本薬局方と同等もしくはそれ以上の厳しい規定をクリアしたガラス器具しか使用できません。ガラス体積計の許容誤差の一例は以下の表のとおり。

100mLメスフラスコクラスAクラスBUSP
許容誤差(mL)±0.1±0.20.08
10mLホールピペットクラスAクラスBUSP
許容誤差(mL)±0.02±0.040.02
参考:柴田科学 カタログ

寿命の判別に!検定方法を紹介

ガラス製体積計の寿命を判別するには、水を使って検定する方法があります。JISの検定方法は実験室でも手軽にできる方法です。定期的にガラス器具のチェックをするときや、実験結果からガラス器具の異常が疑われたときなどに活用してみてください。

  • 水温20℃の蒸留水かイオン交換水を準備する
  • 校正された天秤に乾燥した受用の容器をセットし風袋を記録する
  • 体積計の標線まで水を入れ天秤にセットした容器に全量を排出する
  • 排出された水の重さを記録する
  • 標準温度20℃における実体積を下の計算式によって求める

V20=(IL-IE)×[1/(PW-PA)]×[1-(PA/PB)]×[1-3γ(t-20)]
V20:標準温度20℃における実体積(mL)
IL:はかりの表す質量(風袋含む)(g)
IE:風袋の質量(g)
PW:t℃の水の密度(g/cm3)
PA:測定字の周囲空気の密度(g/cm3)
PB:測定に用いた分銅の密度(もしくは校正に用いた分銅の密度)(g/cm3)
γ:体積計のガラス材料の線膨張係数(℃-1)
t:測定に用いた水の温度(℃)

参考:JISR3505-1994 ガラス製体積計

ガラス器具の寿命を延ばすために守りたい4つのこと

ガラス

ガラス器具を長く使うには、丁寧に扱うのが重要です。できるだけ寿命を延ばしたいなら、次の4つのことに気をつけてください。

洗浄時のキズに注意

ガラス器具の洗浄に硬いブラシを使って擦っていませんか?またブラシの先が、ガラス器具の底にガンガンと音を立てて当たっていませんか?

これらの行為は、ガラス表面のキズにつながります。キズがつくと体積計の容量が大きくなることも。器具を洗浄するときは、ガラスに優しい硬さのブラシを使って、底にブラシの先が強く当たらないように注意してくださいね。

直火の加熱は避けて

メスフラスコなどを直火で加熱すると、変形し容量が変わる可能性があります。溶解しにくい物質をメスフラスコで溶かしたいときは、直火で加熱するのではなく、超音波装置を使いましょう。また濡れたガラス器具を急いで使いたいときに、ドライヤーで乾かすことがありますが、加熱のしすぎには注意しましょう。できればドライヤーの送風など、温度が上がらないモードを使って乾燥させてください。

ガラスが劣化する試薬や洗剤は要注意

加熱した強アルカリ・リン酸・フッ化水素酸は、ガラスを劣化させるので、入れないようにしましょう。また洗浄剤の一部には、強アルカリ性のものもあります。日常的に強アルカリ性の洗浄剤を使用していると、ガラス表面が白濁することも。ガラス器具の洗浄剤は、できれば器具メーカー推奨品を使用するのがおすすめです。

減圧・加圧は基本NG

ガラス器具のガラスは薄いので、基本的に減圧や加圧はできません。ただし減圧用に設計された、ろ過器や減圧用デシケーターは、分厚いガラスでできているので減圧にも耐えられます。加圧に対応しているガラス器具はありません。

ガラス器具のコンタミが原因?よくあるトラブルとチェック方法

ガラス器具のトラブルでよくあるのが、前の実験で用いた試薬が残っているのが原因で起こるコンタミネーション(コンタミ)です。ここでは、分析化学実験と有機化学実験でよく起こる、ガラス器具由来のコンタミの事例について紹介します。

分析化学実験でゴーストピーク

分析化学実験でコンタミが起こると、測定結果に目的物以外のゴーストピークが現れます。ガラス器具由来のゴーストピークは、1つもしくは少数の測定結果にのみ現れて、全ての結果に均一に出るものではありません。とくに検出感度を高めたHPLCやLC-MSでの分析で、よく起こります。ガラス器具の汚染が原因かどうかを確認するには、もう一度同じサンプルをしっかり洗浄した器具で調製し、問題となった試料とともに再測定するのが最適です。

HPLCのゴーストピークにお悩みのときは、以下の記事も参考にしてみてください。

参考:HPLCのピークがおかしい!6個のトラブル別に原因と対処法を解説

有機合成実験で純度の低い生成物

有機合成実験において、ガラス器具に不純物が残っていてコンタミが起こると、純度の低い生成物ができることがあります。また目的の生成物が全くできない事態も。有機合成で使用する試薬は濃度が高く、洗浄しても取れにくいものが多いです。そのためガラス器具由来のコンタミはよく起こります。生成物の純度をチェックし、必要であれば再度きれいに洗浄したガラスを使って合成をしてみましょう。

ガラス器具の洗浄は念入りに!一般的な洗浄方法

ガラス洗浄

ガラス器具は1つずつ丁寧に洗浄します。洗浄中のキズや破損には注意してださい。また洗浄するときはゴム手袋をつけて、洗剤や残留物に直接肌が触れないようにしましょう。一般的な洗浄方法は以下のとおりです。

  • 実験終了後すぐに内容物を廃棄する
  • 必要であればメタノールやアセトンなど溶解するもので内部を流す
  • 水道水で残った汚れを落とす
  • 専用ブラシと洗浄剤を使って内部の擦り洗い
  • 水道水ですすぐ
  • 純水を全体に流す
  • 乾燥棚や洗いカゴに逆さにして自然乾燥

すぐに洗えないときや汚れがひどい場合は、薄めた洗浄剤を入れたバケツに一晩漬けておくと汚れが取れやすくなるので、試してみてください。

ガラスの洗浄を楽にするアイテム紹介

ガラス器具の洗浄作業は時間と労力がかかるので、実験を優先したい研究者にとって面倒に感じることがあります。そこで、ガラス器具の洗浄を少しでも楽にするアイテムを3つ紹介します。

実験器具洗浄機

洗浄機
引用:ヤマト科学㈱ ラボラトリーウォッシャAWD510

実験器具洗浄機は、ガラス器具を機器にセットするだけで、洗剤での洗浄から純水の置換まで、全て自動で行ってくれるものです。強い水流で取れにくい汚れもしっかり落とします。またブラシを使わないので、手で洗浄するよりもガラス器具に優しく、寿命が延びますよ。

超音波洗浄機

超音波洗浄機
引用:ヤマト科学㈱ ブランソン卓上音波洗浄器CPX8800H-J

超音波洗浄機は、流水や溶媒では取れないガラス器具の汚れを落とすのに有効です。超音波の振動で作られた無数の泡が、取れにくい汚れを落とします。大きなサイズの超音波洗浄機なら、一度に多くのガラス器具を入れて洗浄できるので便利です。

超音波ぺピット
引用:ヤマト科学㈱ 超音波ピペット洗浄器AW31

ホールピペットやメスピペットの洗浄には、専用の超音波ピペット洗浄機がおすすめです。超音波と洗剤で、洗いにくい細いピペットの内部を洗えます。またサイフォン式で連続すすぎもできます。分析化学実験でたくさんピペットを使用するなら、ピペット用の超音波洗浄機も検討してみてください。

実験器具乾燥機

洗浄後できるだけ早く同じ器具を使いたいなら、実験器具乾燥機があります。乾燥機を使うと自然乾燥よりも早く乾き、水滴残りもありません。ガラス器具用に設計されているので、高温になりすぎず、器具の劣化も心配なく安心です。

まとめ

ガラス

実験用ガラス器具の寿命は、使い方によって変わるので一定期間を規定できません。しかし丁寧に扱えば、長く使えます。メスフラスコやホールピペットなどの体積計が劣化し、正しい容量がとれているかどうか心配なときは、水を使って検定する方法を試してみてください。

ガラス器具は使用後にしっかりと洗浄できていないと、次の実験でコンタミして思わぬトラブルになりかねません。器具の洗浄は、ガラスにキズがつかないように、優しくおこないましょう。ガラス器具の洗浄が手間だと感じるときには、以下のアイテムの導入も検討してみてください。

  • 実験器具洗浄機
  • 超音波洗浄機
  • 器具乾燥機

分析計測ジャーナルでは、ガラス器具に関するご相談や、洗浄機の価格見積もりを受け付けています。お気軽にお問い合わせください。

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分析計測ジャーナルライターバッハ

ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。

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