「LCMSを導入したい!」
そう思っているものの、具体的にどういった手順を踏めばよいのか困っていませんか?
「LCMS導入前に、何か準備しなければいけないことはあるの?」
「導入する際、搬入や設置はどんな流れで行われるの?」
「導入後のメンテナンスやランニングコストはどれぐらいかかるの?」
など、導入前から導入後までの一連の流れが想像できず、不安に感じられているのではないでしょうか。
実際、LCMSにかかる費用は、装置本体のみではありません。装置の選定以外にも、確認すべきポイントはたくさんあります。
この点を知らないと
「導入前に、こんな準備が必要だったなんて知らなかった」
「装置以外の部分に思ったよりも費用がかかってしまった」
「導入後に、アフターケアの必要性を感じたけどどうすればいいのかわからない」
そんな後悔をすることになりかねません。
そこで、「どんな点に気を付ければ良いのか」について、事前準備から、装置導入、そして導入後のアフターケアまでの一連の流れを
「導入前」 「導入時」 「導入後」
にわけてお伝えしていきます。
LCMS導入について、最初から最後までスムーズに行うために、今お持ちの疑問や不安について、一緒に解消していきましょう。
■装置導入前
【導入前の3つの確認ポイント】
装置を導入する前に必要なことは、
① LCMS本体の選定
② 装置以外にかかる費用の確認
③ デモの実施による分析結果の確認
この3点を徹底的に確認することです。ひとつずつ見ていきましょう。
① LCMS本体の選定
まずはどのメーカーのどの型式のLCMSを購入するか決める必要があります。選定でお悩みの方は、こちらにLCMSのメーカー別比較を載せておりますのでご参照ください。
② 装置以外にかかる費用の確認
装置を導入する際に気を付けないといけないのは、装置の種類や価格だけではありません。LCMSを設置するための環境を整えるには、工事費がかかります。
また、装置以外に用意しなければいけないオプション品もありますし、導入後はメンテナンスも必要になります。これらをあとから知って困るよりも、事前に調べて費用の確認をしておきましょう。
【設置条件の確認】
まずは装置を導入するにあたって、「装置を設置するための条件がそろっているか」を確認しましょう。
これらを確認することで「そろってないものを用意するのに費用はどれぐらいかかるのか」を調べることが出来ます。確認するポイントは以下の点です。
<電気・ガス・水道>
装置を動かすのに必要な電気・ガス・水道はそろっていますか?これらがそろっていない場合は工事費が別途かかります。
また、LCMSは窒素ガスを大量に使います。そこで「窒素ガス発生装置」と呼ばれる装置の購入の検討が必要となります。この窒素ガス発生装置は、機器が必要とする純度の窒素ガスを発生させ続けるものです。ボンベに封入された窒素ガスを使うこともできますが、一般的に流通するボンベ容量では、LCMSの窒素ガス使用量に比べて容量が小さく、ボンベ購入・繋ぎ替えを頻繁に行う必要が生じ、手間がかかります。
<設置スペース>
設置にあたって十分なスペースはありますか?装置によって、必要とされるスペースは異なります。メーカー、販売店、代理店は、機器の設置要件をまとめた資料を持っています。そちらを取り寄せ、必要スペースを確認する必要があります。
<排気>
LCMS内部を真空にするため、ロータリーポンプ(油回転真空ポンプ)を使うのですが、このポンプからはオイルミストが排出されます。こちらを排気するための換気扇やドラフトチャンバーがあるかどうか、確認が必要になります。
<設置場所の温度>
装置を設置する場所の温度変化が激しいと、正しい分析結果が出ない場合があります。また、エアコンの風が機器に当たることも悪影響となる場合があります。設置する場所の温度、エアコンの風向きなどの確認をしましょう。
【実験に必要な消耗品】
実験に必要な消耗品(カラム等)あれば、洗い出しが必要です。事前に種類や価格を確認しておけば「思ったよりも消耗品を用意するのに費用がかかった」とならずに済みます。
【保守点検の契約】
装置のオーバーホールやアフターメンテナンスなど、装置導入後も定期的にかかる費用(ランニングコスト)があります。保守点検の内容を確認の上、保守点検契約を結ぶかを決めましょう。
※保守プランの一例(株式会社島津製作所 アフターサービスカタログより抜粋)
③ デモの実施による分析結果の確認
期待している分析結果がきちんと出るのか、デモ機で検証することができます。導入前にデモンストレーションを行って、きちんと検証しましょう。
上記①②③、3つの点をしっかり押さえた上で、「装置・消耗品・工事・保守点検契約」についての見積りをとりましょう。
■装置導入時
【搬入・設置・試運転・操作説明・検収】
装置はサイズが大きいので、搬入経路を確保しておかないといけません。搬入後、あらかじめ確保しておいたスペースに設置し、組み立て、試運転を行います。その後サービスマンの操作説明を受け、問題なければ検収を行います。
■装置導入後
【保守点検・アフターメンテナンス等】
保守点検の契約を結んだ場合は、スケジュールに乗っ取って、整備・点検が行われます。
また予期せぬトラブルが起こった場合は、契約内容に従って、サービスマンの対応を受けることができます。(注:契約外の内容については実費で対応)
保証期間(1年間の場合が多い)もありますが、この保証期間が「どれぐらいの期間」「どういった保証をしてもらえるのか」を確認の上、保守契約と併用するのが良いでしょう。保守契約を結んでいないと、保証期間でカバーできる範囲外においては、整備・点検・修理が全額実費となるので注意が必要です。
■最後に
ここまで読んでいただいたら、
「LCMSの導入には色々注意しないといけないことがあるな…」
と思われたのではないかと思います。
最後にあらためてチェックポイントをおさらいしましょう。
✅LCMSの「メーカー別比較」はできていますか?
✅装置を動かすのに必要な「電気・ガス・水道」はそろっていますか?
✅設置にあたって「十分なスペース」はありますか?
✅「オイルミストは排気」はできますか?
✅「設置場所の温度の確認」はできていますか?
✅「実験に必要な消耗品とその価格」は把握していますか?
✅「保守点検の契約」は結びましたか?
✅「デモの実施による分析結果の確認」はしましたか?
ひとつずつ確認していくと、手間はかかるかもしれませんが、これらの点を無視してしまうと、あとあと
「高価なLCMSを購入したけど、装置以外にも思ったより費用がかかるな…
導入後もなにかと費用がかさむし、導入前にもっと色々調べれば良かった…」
といったことになりかねません。
この記事を参考に、不安や不満を感じず、LCMSを導入いただけたらと思います。
不安や不満を感じずに、LCMSをスムーズに導入したい!そうお考えの方は、是非一度ご相談ください。
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