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異物分析の方法は?異物分析が得意な委託メーカーも紹介

2023.06.08 (Thu)

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  • EPMA
  • ICP
  • SEM
  • XRF
  • 異物分析
  • 顕微FTIR

記事を書いた人 :

bunseki-keisoku

分析

異物は製品や材料、製造ラインなどさまざまな場所で発生します。異物の原因を特定しなければ、品質の悪いものができたり、お客様に迷惑をかけたりします。そのため異物を分析し原因を特定するのは非常に重要です。しかし異物の種類は生物・有機物・無機物など由来が多く、同定するのが難しいですよね。分析方法も多彩でどれを選べばいいのか悩ましいと思います。

そこでこの記事では、異物分析で用いられる方法を解説し特徴をご紹介します。さらに受注実績が豊富な分析委託メーカーも5社お伝えするので、異物分析の依頼を考えているなら参考にしてみてください。

分析計測ジャーナルでは、異物分析と分析委託メーカーに関するご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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異物分析って何?求められる条件とは?

異物分析とは、製品や原材料に含まれる「異物」を特定することです。製品の高い品質を守るためには、異物の混入は許されません。またお客様から異物混入の報告を受けた際は、原因を特定し再発防止策を報告する必要があります。異物分析は高い製品品質を守るために、必要な方法です。

異物分析に求められる条件

異物分析に求められる条件は以下の3つです。

  • スピーディーな分析
  • 広い選択性
  • 微小部位の検出

製造中に検出した異物やお客様から報告を受けた異物は、原因究明にスピードが求められます。また異物の種類はプラスチックなどの有機物やガラスなどの無機物、虫などのタンパク質を含むものまで多岐に渡ります。そのため異物分析には広い選択性が必要です。異物は近年微小化しているので、微小部位が検出できる高度な方法でなければなりません。

異物分析に適した手法は?特徴も紹介!

手法

異物分析に適した方法は、異物の種類によってさまざまです。異物分析でよく用いられる手法を6つご紹介します。各方法の特徴もお伝えするので、異物の状態と予想される物質に応じて適切な方法を選択してください。

SEM(走査電子顕微鏡法)

異物分析の最初のステップとして、顕微鏡観察があります。顕微鏡観察は、異物の状態を視覚で観察するために用いられる方法です。光学顕微鏡での観察も可能ですが、SEM(走査電子顕微鏡)を使えば数nmの微小な異物も観察できます。またSEMは凹凸も把握できるので、3次元的に肉眼で見ているような感覚で観察できる特徴があります。

顕微FT-IR

顕微FT-IRは微小サイズの有機物同定に用いる方法です。生物由来の異物やプラスチック片など異物同定に最適です。顕微FT-IRは顕微鏡とFT-IRが合わさったもので、特定エリアのFT-IRが取得できます。顕微FT-IRの全反射法(ATR)を使えば、試料を非破壊で測定できるので手軽に異物分析がおこなえますよ。

顕微FT-IRについての詳しい情報はこちらの記事も参考にしてみてください。

顕微FT-IRの基礎知識|おすすめ機器と価格も紹介

EDX(エネルギー分散型蛍光X線分光法)

EDX(エネルギー分散型蛍光X線分光法)では、無機物の分析ができます。一般的な検出可能元素はNa(ナトリウム)~U(ウラン)の81種類もあるので、一度の測定で多元素の検出が可能です。またマッピング機能を使えば元素の分布が可視化でき、散乱した異物の分布状況も把握。SEMなどの電子顕微鏡に付属しており、微小サイズの無機異物の同定が可能です。

EDXについてさらに詳しい情報は、こちらの記事も参考にしてみてください。

EDXとは?難しい元素分析の原理や特徴をやさしく解説!

XRF(波長分散型蛍光X線分光法)

XRF(波長分散型蛍光X線分光法)は試料にX線を照射し、物質固有の蛍光X線を検出して物質を同定する手法です。無機物の同定が可能で、検出元素はO(酸素)~U(ウラン)の84種類です。CCDカメラなどの試料観察カメラによって、試料の状態を観察しながら元素分析ができます。XRFはEDXに比べて重元素の分析に適しており、試料表面の凹凸の影響も受けにくい特徴があります。

EPMA(電子線マイクロアナライザ)

EPMA(電子線マイクロアナライザ)は電子線を試料に照射し、物質固有の特定X線を検出。無機物を同定する方法です。EDXに比べて分解能と感度が優れています。鉄やニッケルなどEDXでは区別しにくい低エネルギー元素も、EPMAなら明確に分離できます。金属片の異物分析にはEPMAがおすすめです。

ICP(ICP発光分光分析)

ICP(ICP発光分光)は、試料にプラズマエネルギーを照射し励起された元素が基底状態に戻るときに発する固有の発光線を検出する方法です。無機物の同定が可能で72~73種類の元素が同定できます。試料は水溶液の状態にしなければなりません。飲料水や注射液などの異物分析なら、前処理をほとんどせずに測定できますよ。

有機物も無機物もまとめて解析!「EDXIR-Analysis」

引用:㈱島津製作所 EDXIR-Analysis

異物分析の各方法をご紹介しましたが、有機物と無機物によって分析法は変えなければなりません。そのため2つの手法で測定した異物は、別で解析し由来を特定します。しかし実際に1つの試料で検出される異物は、有機物と無機物が混在していることがよくあります。

㈱島津製作所の「EDXIR-Analysis」は、EDXでの無機物同定とFT-IRでの有機物同定の結果を統合解析するソフトです。有機物と無機物のどちらか迷う異物でも、EDXIR-Analysisを使えば一括で解析し同定してくれます。島津製作所製のEDXをFT-IRを所有しているなら、導入をおすすめします。EDXIR-Analysisは異物分析を効率的におこなえるシステムで、他社にはないユニークなシステムです。

参考:㈱島津製作所 EDXIR-Analysisカタログ

異物分析が得意な分析委託メーカー5選

異物分析は、高額な分析機器が複数種類必要です。また異物を同定するには、技術習得までに相当な時間と経験がなくてはなりません。そのため異物分析は、分析委託がおすすめです。

今回はさまざまな異物分析用機器を所有しており、受託実績の多い分析受託メーカーを5つ挙げてご紹介します。会社によって得意な分野や所有機器が異なるので、依頼したい異物によって適切な会社を選んでくださいね。

㈱島津テクノリサーチ

㈱島津テクノリサーチは、㈱島津製作所のグループ会社です。そのため島津製の最新機器がそろっています。異物分析の実績が多く、医薬品・電子材料・食品・繊維など幅広い分野の異物同定が得意です。㈱島津テクノリサーチでは経験豊富な技術者が担当し、異物の原因が何なのか解明してくれますよ。

参考:㈱島津テクノリサーチ 異物分析

㈱近畿分析センター

㈱近畿分析センターは、水質や大気などの環境分析と材料分析に特化した会社です。異物分析では、多層剝がれの原因調査や金属素材の表面評価など工業系のトラブル対応の実績があります。EPMA(電子線マイクロアナライザー)、SAM(走査型オージェ電子分光分析装置)、XRF(蛍光X線装置)を所有しており、試料の状態によって使い分けます。

参考:㈱近畿分析センター 表面分析

㈱環境管理センター

㈱環境管理センターでは、食品・材料・配管などの異物分析をおこなっています。また住宅内で発生した異物分析も依頼できます。実体顕微鏡・XRD・SEM-EDS、顕微FT-IRなどの機器を駆使し、異物の特定を進めます。依頼前のヒアリングから必要であれば追加試験の提案まで、きめ細やかな対応が自慢です。

参考:㈱環境管理センター 異物試験・委託試験

㈱住化分析センター

医薬品の異物試験委託なら、㈱住化分析センターがおすすめです。住化分析センターは異物分析以外の医薬品分析も、受託経験が豊富。医薬品の各種ガイドラインを把握し、適切な測定方法で異物を同定してくれます。医薬品以外に、食品や化粧品の異物分析も実績がありますよ。

参考:㈱住化分析センター 異物解析

㈶日本食品分析センター

㈶日本食品分析センターは、社名のとおり食品関連の分析が得意です。食品に加えて、医薬品も大手製薬会社からの受託実績があります。異物分析は光学顕微鏡・顕微FT-IR・EDXなどを駆使して由来を同定します。ホームページに異物検査の価格や追加料金のポイントなどが明記されているので、安心して依頼できます。

参考:㈶日本食品分析センター 異常品(異物検査・異臭検査など)

まとめ

ブックマーク

異物分析についてお伝えし、用いられる方法について解説しました。異物分析には、以下の方法があります。

  • SEM(走査電子顕微鏡法)
  • 顕微FT-IR
  • EDX(エネルギー分散型蛍光X線分光法)
  • XRF(波長分散型蛍光X線分光法)
  • EPMA(電子線マイクロアナライザ)
  • ICP(ICP発光分光分析)

㈱島津製作所の「EDXIR-Analysis」という解析システムを使えば、無機物と有機物の解析が同時におこなえ、効率的に異物が同定できます。異物分析をおこなうなら、自社で機器をそろえる方法もありますが、分析委託もおすすめです。異物分析を委託すれば、経験と知識が豊富な技術者が、適切な手法を使って迅速に異物同定してくれますよ。

分析計測ジャーナルでは、異物分析に関するご質問や分析委託メーカーのご紹介を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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分析計測ジャーナルライターバッハ

ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。

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