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【初心者必見!】マイクロピペットの正しい使い方と注意するポイント5選!

2024.04.12 (Fri)

  • マイクロピペット

記事を書いた人 :

bunseki-keisoku

5選

マイクロピペットの正しい使い方はご存じですか?初めてマイクロピペットを手にする、学生実験で使ったけど久しぶりに触る、という場合しっかり使い方を理解しておく必要があります。なんとなく使えてしまうマイクロピペットですが、正しい使い方でなければバラつきが大きくなったり、マイクロピペットを破損したりする可能性も。

そこでこの記事では、マイクロピペットの正しい使い方と、注意するポイント5つをご紹介します。さらに技術が必要な、高粘度な液体の採取方法もお伝えします。

また分析計測ジャーナルでは、マイクロピペットに関するご質問を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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マイクロピペットとは?

マイクロピペット

マイクロピペットとは、生化学実験などで少量の液体を量り取るときに使う器具です。主に1mL以下の液体を取るときに使います。ピストンを押し下げて空気を排出し、ピストンを上げると空気と同量の液体が吸い込まれます。マイクロピペットは種類によって取れる容量が決まっており、採取したい容量に合わせて数種類を準備するのが一般的です。

マイクロピペットの正しい使い方

マイクロピペットの正しい使い方を、6つのステップで解説します。実験でいきなり使用するのではなく、まずは水などの液体を使って何度か使い方を練習しましょう。

  • マイクロピペットの選択
  • 容量の設定
  • チップの装着
  • 液体の吸い込み
  • 液体の排出
  • チップの取り外し

①マイクロピペットの選択

マイクロピペットはそれぞれ容量の範囲が決まっています。たとえば、以下の表のような容量範囲の製品があります。

モデル容量範囲
P20.2μL~2μL
P101μL~10μL
P202μL~20μL
P10010μL~100μL
P20020μL~200μL
P1000100μL~1000μL
P5000500μL~5000μL
P10mL1.0mL~10mL
出典:エムエス機器株式会社 ピペットマンP

たとえば80μLの容量を取りたい場合、P100(10μL~100μL)とP200(20μL~200μL)のどちらも容量範囲に入っているので使えます。しかしできるだけ最大容量に近いマイクロピペットを選ぶほうが精度が上がります。80μLを取るなら、P100が最適です。
また目的の容量を2回以上に分けて取るよりも、1回で取るほうが正確です。手持ちのマイクロピペットの種類が少なければ、できるだけ少ない回数で目的の容量が取れるよう工夫しましょう。

②容量の設定

容量はプッシュボタンもしくは、サムホイールと呼ばれるダイアルを回して設定します。設定したい数値になるまでプッシュボタンもしくはサムホイールを回します。設定値が元の値より小さい場合は、目的の数値になれば止めて完了です。設定値が元の値より大きい場合は、設定値に達したあと半回転さらに回してから戻して合わせます。容量の設定は「大きい値から小さい値へ」設定するのを覚えておきましょう。どちらの場合も、設定値を行き過ぎないようにゆっくりと合わせてください。

③チップの装着

チップの装着

チップはマイクロピペットの容量に応じたチップを選びます。チップラックに入ったチップを準備してください。チップの装着方法は、マイクロピペットを傾けずまっすぐ持ち、垂直にチップに差し込みます。力のかけすぎに注意しながら、しっかりチップを装着するまでマイクロピペットを押します。このとき叩くように勢いをつけて装着すると、破損の原因になるので気をつけてくださいね。

④液体の吸い込み

液体を吸い込む前に、マイクロピペットのプッシュボタンについて把握しておきましょう。プッシュボタンは2段階式になっており、第一ストップと第二ストップの2つがあります。基本の使い方は、第一ストップで吸い込みと排出です。第二ストップはチップ内に残った液を出し切る際に使用します。

液体の吸い込み操作は、次のとおりです。

1.プッシュボタンを第一ストップまで押す
2.ピペットを垂直に持ち、チップの先を液面に数ミリ入れる
3.プッシュボタンをゆっくり引き上げ液体を吸引

これで液体の吸い込みは完了です。

タンパク質を含む液体や粘度が高い液体の場合、排出後のチップ残りを防ぐため、プレリンスの実施がおすすめです。はじめに吸引した液体を排出し、再度同じチップで吸い上げて目的の量を採取します。チップ内部に液が馴染み、正確な量が取れますよ。

⑤液体の排出

液体を吸引した状態から排出までのステップは次のとおりです。

1.チップの先を容器の淵に当てて液を切る。もしくはチップの周りをキムワイプなどで拭く
2.第一ストップまでゆっくり押して液を排出する
3.一呼吸置いてから第二ストップまで押し、液を完全に排出させる
4.チップ内に液が残ってしまったら、第二ストップまで何度か押して出し切る

⑥チップの取り外し

液体を取り終えたら速やかにチップを外します。チップの取り外しはチップインジェクターボタンを押すか、先端に触れないように手で外してください。
使用後のチップは実験内容によっては汚染されている状態です。液とびに気をつけて慎重に外しましょう。
また使用後のチップを外さない状態で、マイクロピペットを実験台の上に倒して置くのは避けてください。チップ内に残った液体が、マイクロピペット内に入る可能性があります。引き続き同じチップで実験を進めたいが一度ピペットを置きたいなら、ピペットスタンドなどに立ててくださいね。

マイクロピペットで注意するポイント5選

5選

マイクロピペットを使うときに注意したいポイントを5つ挙げました。基本的なことから、意外と知られていないことまでご紹介します。

チップの先を液体に入れすぎない

液体の吸い込みの際、チップの先は液体に入れすぎないようにしましょう。チップをたくさん液体につけると水圧の影響で正確な量が取れません。また粘度がある液体の場合、チップ外壁に液体がたくさんついて誤差につながります。チップの先は液体を吸い込んでも液面に出ない、ギリギリの位置を意識してくださいね。もし吸い込み作業時にピペットを持つ腕がしんどいと感じるなら、肘を机に置いて安定させると腕が疲れにくいので試してみてください。

プッシュボタンはゆっくり上げ下げ

プッシュボタンを上げ下げするときは、ゆっくり動かしてください。吸い込む時に早く上げると、空気を吸い込んだり液が飛び跳ねてピペット内に入ってきます。液体の排出時も、早く押してしまうとチップ内の液残りが多くなり正確な量が得られません。マイクロピペット内のバネに合わせてゆっくり操作してくださいね。

マイクロピペットの先は上げない

液を吸い込んだ状態や、使い終わったチップがついた状態では、マイクロピペットの先は常に下向けてください。マイクロピペットの先を上げると、液体が本体に入ります。本体に液体が入ってしまうと、内部を腐食し正しい容量が量れなくなります。

しばらく使わない場合は目盛りを最大値に戻す

週末や長期休暇の前には、マイクロピペットの目盛りを最大値に合わせて保管しましょう。小さい目盛り設定は、内部のバネに負荷がかかっている状態になっています。長期間負荷がかかっている状態は、劣化を早めることもあります。そのため長く大切に使いたいなら、しばらく使わないマイクロピペットは、目盛りを最大値に戻すほうがいいですよ。

腐食性のある液体は注意

腐食性のある液体の採取には、できるだけマイクロピペットを使わないでください。たとえば塩酸溶液などの酸性溶液のマイクロピペットでの吸い込みは、ピペット内部を腐食する可能性があります。どうしても使用しなければならないときは、使用後にマイクロピペットを分解し内部を蒸留水で洗い流したあと、完全に乾燥してから組み立ててください。

粘度のある液体をマイクロピペットで量り取るには?

疑問

粘度の高い液体をマイクロピペットで採取するのは難しく、技術が必要です。ここでは高粘度の液体に有効な方法を2つご紹介します。

チップの先を切りリバースモードで

リバースモードを使えば、高粘度の液体も正確に量り取れます。リバースモードとは、吸引時に第二ストップまで押して採取、排出は第一ストップで止める方法です。多めに採取し、チップ内部に残る液体量を補正します。
また粘度が高い液体は先が細いチップでは吸い込みにくいので、チップの先を数ミリ切って口を広げます。チップの先を切ると吸い込み量に差が生じるため、吸い込み量ではなく排出量でコントロールするリバースモードが有効です。

高粘度用のマイクロピペットを使用

クリームなどの高粘度な液体には、高粘度用のマイクロピペットとチップがあります。高粘度用マイクロピペットは、チップ内部にピストンがついており、ピストンが液体を押して出し切ります。ピストンがマイクロピペット本体と液体の間にあり、壁のような働きもするので、揮発性のある液体にも使用可能です。しかしマイクロピペットもチップも、通常のものに比べて価格が高いので、まずはリバースモードを試してばらつく場合は購入の検討がおすすめです。

高い精度を求めるなら電動マイクロピペットも

電動マイクロピペット
出典:エムエス機器株式会社 電動ピペット

何度トレーニングしても採取量がばらつく、もっと高い精度が必要という場合は、電動のマイクロピペットもあります。ボタン一つで吸引と排出をしてくれるので、研究者はマイクロピペットをしっかり持ってボタンを押すだけ。作業量が多く疲れる、もっとスピードを上げて作業したい場合にも活躍しますよ。

さらに電動ピペットは手動のマイクロピペットではできなかった、1度の吸引で同量の分注や、吸引後に異なる量の排出なども可能です。正確に実験の効率を上げたいなら、電動マイクロピペットも検討してみるのはいかがでしょうか。

まとめ

まとめ

マイクロピペットの正しい使い方と、注意点をご紹介しました。マイクロピペットは2段階のストップがあるのが特徴です。まずは何度かトレーニングして、使い慣れましょう。高粘度の液体の採取には、リバースモードや高粘度用マイクロピペットが有効です。

分析計測ジャーナルでは、マイクロピペット選びや使い方についてご相談を承っております。またデモ機の貸し出しサービスなども、メーカーによっては可能です。(お受けできない製品もあります。ご了承ください)お気軽にお問い合わせください。

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分析計測ジャーナルライターバッハ

ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。

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