実験室でよく見かける装置、「ドラフトチャンバー」。
ドラフトチャンバーとは、
有害な物質を実験で取り扱う際に、有害物質を排気・浄化してくれる装置
のことです。
(※写真はオリエンタル技研工業株式会社のHPより引用)
(※貴商エンジニアリング株式会社のHPより引用)
ドラフトチャンバーが無ければ有害物質が排気されず、健康被害を引き起こしかねません。ドラフトチャンバーは、研究者およびその空間の安全性を保つための大切な装置なのです。
ところでこのドラフトチャンバーですが、定期的な点検及びメンテナンスが必須なのはご存知でしょうか?
これらを行わなければ
●健康被害が出た
●高額なメンテナンス費用がかかってしまった
などのネガティブな結果を引き起こしかねません。
ドラフトチャンバーの導入を考えている方、今まさにドラフトチャンバーを使っている方は、こういった危険性を把握する必要があります。それらの危険性がどんなものなのか、一緒に見ていきましょう。
■法令について
ドラフトチャンバーついては、その検査の時期、項目、検査の記録について、下記のように定められています。
第45条:定期自主検査事業者は定期に自主検査を行い、結果を記録しておかなければならない。
第15条:定期に自主検査を行うべき機械等9項:局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの
第20条:局所排気装置の定期自主検査事業者は1年以内ごとに1回、定期自主検査を行わなければならない。第21条:定期自主検査の記録事業者は自主検査の記録を3年間保存しなければならない。
第30条:定期自主検査事業者は1年以内ごとに1回、定期自主検査を行わなければならない。第32条:定期自主検査の記録事業者は自主検査の記録を3年間保存しなければならない。
法令の詳細については、厚生労働省法令等データベースサービスの「第5編 労働基準 第3章 安全衛生」をご覧下さい。
(※株式会社ダルトンメンテナンスのHPより引用)
つまり「定期的にきちんと点検」し、かつ「記録を保存」しておかなければならないのです。
定期点検を怠っていると、ドラフトチャンバーの排気能力が衰え、有害物質を身体に取り込んでしまう可能性もあります。そうすると健康被害につながる危険性が出てくるのです。学校であれば教官や学生の、企業や研究所であれば研究者の安全確保のために、定期点検で製品を最適な状態に保つことは必要不可欠です。
■メンテナンス費用について
定期的な点検が必要なドラフトチャンバーですが、点検を怠っていると想定外の高額なメンテナンス費用を請求される場合があります。
とある大学の話になりますが、10年ものあいだ定期点検を行わず放置した結果、スクラバー部分の清掃に手こずり、20万円以上の費用がかかったという事例もありました。
大学にしても民間企業にしても、年間に使える修理・メンテナンスの費用というのは決まっているもの。突発的な出費は避けたいところですよね。
今お使いのドラフトチャンバーを最後にメンテナンスしたのはいつでしょうか?一度調べてみることをおすすめします。
■まとめ
ドラフトチャンバーは、導入したらそこで終わりという装置ではありません。定期的な点検とメンテナンスをきちんと行う必要があります。
「定期的に点検を依頼するのが面倒」という気持ちもわかりますが、こまめな定期点検は、将来の安心を積み上げていく作業です。研究者の安全を守り、想定外の出費を避けるためにも、定期点検を行いましょう。
健康についての不安やメンテナンス費用などの心配しをながら実験するのはストレスですよね。ドラフトチャンバーの定期点検について、不安な点や質問などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
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