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解決事例 インタビュー

55歳のどん底ベンチャー起業 負債スタートから成功のシナリオ

2021.03.24 (Wed)

  • インタビュー

記事を書いた人 :

yura

現状の問題

  • 設備投資に対する予算が少ない
  • 大きな投資には慎重になってしまう
  • トップダウンになってしまいがち
  • 社屋が狭い
  • 会社の経験値が少ない

解決策

  • 従業員の意見を吸い上げるシステム
  • 投資の判断をする第三者を見つける
  • トップダウンを防ぐ抑止力が必要
  • 間違った設備投資をしない

展望

  • 他の同業がやっていない事業を実現し、滋賀県ではトップ企業に成長させる

滋賀県で排水処理施設の設計・工事・メンテナンス、水質分析のベンチャー企業を立ち上げた環境創研株式会社古谷兼一社長(以下、古谷)。チャンスが巡って来たところで十分な準備もせずに事業をスタートしました。

しばらくすると、資金繰りや知識不足など問題は山積みに。そんな時に心強かったのは、外からの信頼できるアドバイス。

味方であって背中を押したり、ここぞという時には敵になって真意をためしたり。いつもいちばん近くで支えてくれる存在の役割についてお話を聞きました。

どん底の精神状態から、起業。

―――まずは事業概要について教えて下さい。

古谷:私どもは「水」にまつわる設計・施工、メンテナンス、修理・補修、水質分析、コンサルティングのトータルソリューションを提供しています。

今から11年前、私が55歳の時に始めた会社です。収入や名誉、地位などのために働くことに疲れ前職を追われるように辞めどん底の日々を送っていた頃にスタートしました。

―――起業のきっかけを教えて下さい。

古谷:この会社を始める前に、フィリピンでボランティアに参加したことが影響しています。世間の役に立てる仕事がしたいと考えるようになりました。そんな時に、仕事を追われた前職の会社が倒産し、買い手のつかない水質分析機器を負債ごと買い取ることになりました。約35年間廃水処理の設計に携わってきた私は、その経験を滋賀県の琵琶湖をきれいにすることに活かしたい、そこに残りの人生をかけてみようと決意したのです。

無理難題は適任を探して、人任せで解決。

―――機材も揃い、経験もあるならスタートは順風満帆だったのでしょうか。

古谷:私が長く携わって来たのは廃水処理の設計のみ。私が設計した装置が設置後、正しく稼働しているかどうかは関知していなかったのですが、いつも疑問を感じていました。なので、今回は廃水処理の設計、施工だけではなく、メンテナンス、アフタフォロー、コンサルティングまで全てを任せてもらえる会社にしたかった。そのために排水の水質分析を数値化してクライアントに提示し、害のない排水でクライアントを安心させたい。その先には琵琶湖の環境、地球環境を改善につなげる大きな目標をもっていましたが、初めは問題が山積みでした。

―――山積みの問題を解決された方法はどのように見つけられましたか。

古谷:まずは会社の場所探し。多くの方は不動産会社に依頼して探しますよね? 私もそのようにして縁あって希望通りのこの建物を見つけることができました。他の問題解決も同じ方法で解決。

例えば、水質分析装置、機器の購入、スペックの検討などは、前職から付き合いのある業者の担当者に丸なげで相談。私は廃水処理の設計が専門、廃水を検査する水質分析機器については素人などで、彼に任せることにしたんです。彼は、以前から私たちの出す無理難題に応えてくれていました。納期、予算などこちらが譲れない条件になんとか合わせてくれる実績がありました。

―――会社が軌道に乗ったのは勝因を教えて下さい。

古谷:水質分析に力を入れたことです。滋賀県は関西、名古屋、北陸、東京都ネットワークを組むのに交通の核となる場所であるため、大きな工場がたくさんあります。さらに、琵琶湖があることから住民の環境意識が他に比べると高く、工場から排出される水を住民の心配ないものにするといったニーズが存在します。そこにうちの会社がワンストップで対応したことで、大手の工場を得意先にすることができました。

機器を取り扱う業者の担当者が、入札情報を教えてくれたり、入札条件にあった機器の選定をしてくれたりと尽力してくださったのも軌道に乗った理由のひとつです。弊社の仕事が増えれば、彼の売り上げも上がる。業者さんが努力してくれる理由の一つです。

「めんどうな人」になって、必要な相手を見つける。

―――業者さんにうまく協力してもらう方法を教えて下さい。

古谷:現在うちの会社の社員数は25人になり、その約半数が水質分析に関わっています。室長をはじめメンバーは若く、一丸となって難しい課題に取り組んでくれています。そして、頻繁に新しい機器が必要だと稟議が上がってきて、私はその度に機器を取り扱う業者さんと面談することになります、お金のことで。「半値半額にしろ」と冗談を言うこともありますが、私の本意は信頼する業者さんにその機器がうちの分析室に本当に必要かどうか確かめることです。

私は「技術的に優れているので必要だ」というのでは稟議は通しません。将来性や会社への貢献度などあらゆる角度から提案をしてもらわないと納得ができないのです。稟議書作成の段階で、すでに水質分析室室長との間で深い検討がされています。しかし、業者さんは売り上げが欲しいという思いだけで仕事をしているかもしれません。そこで、最終テストです。私が彼をどれだけ信頼しているかを伝え、私を騙したり裏切ったりしたら許さないと伝えます。そして、実際に何か問題があれば、すぐに呼び出し真実を確かめます。業者さんからすると私は「めんどうな人」。ボランティアではないので対価を儲けてもらうのは大歓迎ですが、間違いのない機種選定、私が納得する理由をつけた見積もりにしておかないと、後でめんどうなことになるわけです。数社から相見積もりをとって最も安いところから買うのもひとつですが、私は「何かあったときの対応力」に比重をおいています。

―――対応力とは、具体的に?

古谷:会社をスタートした時はお金がありませんでした。そんな時、「お金がないけど、装置が必要だ」と言うと、意欲のある業者さんは中古装置を見つけてくれました。また、予算の合う装置を見つけたのはいいけれど、社屋が狭くて入らないとうこともありました。装置が設置できなければ、業者さんは売り上げが上がりません。クレーンを使って搬入、部屋の見取り図とにらめっこした結果、なんとか設置できました。その奮闘を見ていると、売り上げのためだけでは無いような気がしてきますね。

―――外部の業者なのに、社員のような関係ですね。

古谷:うちのような小さな会社は、社長の意見が通りやすい。トップダウンは勢いのあるときはよく働きますが、社員に別の意見がある場合は社内にしこりが残る原因になることもあります。社員、とくに若いメンバーは本音を社長にはいいにくいものです。私も素直に聞けるかどうか、怪しいもんですよ(笑)。そんなときは、意外と外部の人の意見の方がすっと入ってくるときがあります。社員もワンクッションある方が私に意見を伝えやすいでしょう。分析機器を取り扱う業者の担当者だけでなく、出入りしてくれている業者さんの意見は大変重要ですね。

県内トップを目指して、猪突猛進。

―――今後の夢を教えて下さい。

古谷:うちは創業11年を迎えたまだまだひよっこ企業ですが、技術者のレベルアップを重ね少しずつ取り引き先の信頼を獲得しています。現在の目標は、廃水処理の分野で滋賀県トップになること。うちの会社がたくさん仕事をすればするほど、琵琶湖の水がきれいになる。水にこだわる仕事のモチベーションは環境に対する責任感です。


お話をお伺いしたのは・・・

環境創研株式会社

社員:25名

代表取締役 古谷兼一氏

滋賀県内でトップクラスの水質分析室を軸に、設計・施工、コンサルティング、アフタフォローなど廃水処理のトータルソリューションサービスを提供する会社。35年以上、業界に携わってきた古谷兼一氏が2009年に設立。主要取り引き先は日本有数の大手起業が並び、滋賀県で今、最も勢いのあるベンチャー起業のひとつ。人との縁を大切にする古谷氏の温かい人柄に惹かれる業界関係者も多い。

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