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凍結乾燥機のおすすめメーカー10選

2025.02.03 (Mon)

  • 凍結乾燥機

記事を書いた人 :

bunseki-keisoku

凍結乾燥機は商品の水分を飛ばして、長期保存ができるように加工する機器です。インスタント食品やフリーズドライフルーツなどに使われている技術で、私達の暮らしに欠かせない機器となりました。

凍結乾燥の技術は世間で幅広く使われているので、凍結乾燥機は国内外さまざまなメーカーから多くの機種が販売されています。そのためどのメーカーがいいのか悩ましいですよね。そこでこの記事では、凍結乾燥機の基礎を紹介したうえで、おすすめメーカーを10社紹介します。10社の特徴をギュッとまとめているので、凍結乾燥機選びの参考になりますよ。

分析計測ジャーナルでは、凍結乾燥機の相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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凍結乾燥機の原理と構造

凍結乾燥とはフリーズドライとも呼ばれており、素材を乾燥させて品質を保ちながら長期保存が可能な状態にする方法です。凍結乾燥機は水分の多い状態から特殊な方法を使って水分を除去し、試料を凍結乾燥の状態にする機器です。凍結乾燥はどのように行われているのか、仕組みと流れを解説します。

凍結乾燥機の原理とプロセス

凍結乾燥は「昇華」という現象を利用しています。昇華とは、物質が固体(氷)から液体を経ずに直接気体(水蒸気)へと変化する状態です。凍結乾燥機では試料を凍らせて、低圧にして水分を昇華させます。具体的には次の3ステップで凍結乾燥は進みます。

Step1:凍結(-40℃〜-80℃程度の低温環境で急速凍結)
Step2:一次乾燥(低圧にして昇華を開始させる)
Step3:二次乾燥(低圧のまま温度を上げて昇華を促進させる)

一次乾燥が始まり昇華が進むと、昇華熱により周囲の温度が奪われて下がってしまいます。そこで二次乾燥では、昇華熱を補填するために試料を加熱し昇華を促進。加熱といっても試料が解けない程度の熱の補填です。加熱棚と試料の温度が平衡状態になったポイントが凍結乾燥の終了ポイント。乾燥が終了すると熱の補填が必要なくなり、試料と乾燥棚の温度が同じになるのです。

凍結乾燥機のタイプと構造

凍結乾燥機には乾燥室の形状が異なる2つのタイプがあります。

  • シェルフ式
  • 多岐管式

シェルフ式の凍結乾燥機は乾燥室が一室で試料棚が並んでいるものです。多岐管式はナスフラスコや乾燥瓶を複数取り付けて使用します。シェルフ式の凍結乾燥機の構造例を下記図に示しました。

試料は乾燥室内の冷却加熱装置が埋め込まれた棚に設置します。コールドトラップとは水蒸気捕集器とも呼ばれており、水蒸気を引き出し排気する役割があります。コールドトラップにより、昇華した水分が外に出されていくのです。ポンプは低圧環境を維持するために、一次乾燥から絶えず動き続けます。

出展:タイテック㈱ 多岐管MP-060

多岐管式とは、上記写真のような構造でナスフラスコなどを使って乾燥室が分かれているタイプのものです。少量の検体に向いていて、研究用に便利です。乾燥室以降の構造はシェルフ式の図解と同様で、コールドトラップとポンプにつながっています。

凍結乾燥機が活躍する場

凍結乾燥機がよく使われている業界は「医薬品業界」と「食品業界」の2つです。

医薬品業界

  • ワクチンや抗体医薬品
  • 再生医療製品
  • 診断薬や検査薬

食品業界

  • インスタント食品(みそ汁・スープ類)
  • フリーズドライフルーツ
  • 宇宙食

これらの業界のほか化粧品やサプリメントなどの健康食品業界、文化財保管などの分野においても品質維持のために凍結乾燥機は使われています。

凍結乾燥機のおすすめメーカー10選

おすすめ10選

凍結乾燥機を製造販売するメーカーは国内外にたくさんあります。凍結乾燥機市場は、日本企業が大きなシェアを占めています。今回は高品質な機器と丁寧な対応が受けられる企業を中心に、おすすめメーカーを10社紹介しましょう。

㈱宝エーテーエム

出展:㈱宝エーテーエム 研究用凍結乾燥機

㈱宝エーテーエムは凍結乾燥機専門メーカーで、日本のみならず海外からも人気があります。㈱宝エーテーエムは凍結乾燥機の製造販売のほか、試作品の凍結乾燥や受託での凍結乾燥もサービス展開しており、機器購入前に試せるのもおすすめポイント。凍結乾燥機は、小型〜大型さらに医薬品用や文化財用などもあります。ニーズに応じたカスタマイズもできるので、特別な1台を探しているなら㈱宝エーテーエムはいかがでしょうか。

久保田商事㈱

久保田商事㈱はドイツのCHRiST社製の凍結乾燥機を取り扱っています。多様なモデル展開で、ルーチンワーク用の卓上型から、研究用、パイロット実験用のシェルフ式まで、用途に応じたモデルを提供しています。また豊富なアクセサリーでさまざまな容器や試料の凍結乾燥に対応可能です。海外メーカーの機器ですが、操作画面はカラーの大画面で直感的に操作しやすくなっています。

タイテック㈱

出展:タイテック㈱ VD-800R

タイテック㈱は汎用科学機器メーカーとして、ライフサイエンス分野や環境試験分野などの試験器具を提供しているメーカーです。タイテック㈱の凍結乾燥機は小型タイプが中心で、実験室での試作用によく使われています。直感的に使える仕様で、誰でも簡単に操作できるのがタイテック㈱の凍結乾燥機の特徴の一つ。耐久性も高くメンテナンスも容易なので、研究室に1台あれば長く使える機器になるでしょう。

共和真空技術㈱

共和真空技術㈱は医薬品・食品の製造工程などで用いる、生産ライン用の凍結乾燥機を主力に手掛けるメーカーです。独自技術の開発にも力を入れており、密閉空間での自動凍結乾燥機も開発しました。ニーズに応じてオプションやレイアウトの変更など、柔軟な対応が可能なのでぴったりの凍結乾燥機が手に入ります。工業用凍結乾燥機を探しているなら、共和真空技術㈱の製品はいかがでしょう。

東京理科器械㈱(ELELA)

出展:東京理科器械㈱(EYELA) FDM-1010、FDM-2010型

東京理科器械㈱(EYELA)は科学研究機器の専門メーカーで、多岐にわたる製品を自社で一貫して生産・販売しています。研究者のニーズに応じた高品質な製品開発と、全国に広がるサービスネットワークによる迅速なサポート体制が強みです。EYELAの凍結乾燥は多様なモデル展開で、さまざまな研究開発ニーズに応えるラインナップがそろっています。また環境にも配慮したノンフロン冷媒を使用したモデルも展開。高品質で細かいニーズを叶えたいなら、おすすめのメーカーの一つです。

㈱佐久間製作所

㈱佐久間製作所は、遠心分離機や凍結乾燥機などの機器を製造販売する日本メーカーです。凍結乾燥機はCSシリーズを展開しています。CSシリースは研究室用のコンパクトなタイプで、柔軟なプログラム設定ができるのが特徴の一つ。コンパクトなデザインで設置スペースを最小限に抑えつつ、4Lから15Lまでの容量バリエーションに対応しています。

㈱スクラム

出展:㈱スクラム AdVantage Pro シリーズ

㈱スクラムは海外機器メーカーの輸入商社で、凍結乾燥機はATS Life Sciences グループ(旧 SP Scientific)のものを取り扱っています。㈱スクラムでは大型の多岐管式タイプや、床置きのパイロットスケール対応の機種なども展開。とくに実験台の上に置けるAdVantage Pro シリーズは、他社にはないコンパクトなサイズ感で実験室の置き場に困っているときに最適な1台です。

朝日ライフサイエンス㈱

朝日ライフサイエンス㈱ではアメリカのLabconco社製の真空凍結乾燥機を取り扱っています。真空凍結乾燥機−84℃シリーズは、低融点のサンプルや有機溶媒を含むサンプルの凍結乾燥が可能です。また真空による高い水分除去力で、効率的に乾燥させます。低温でしか凍結乾燥できない特定サンプルがあるなら、Labconco社製の機器はいかがでしょうか。

日本ビュッヒ㈱

出展:日本ビュッヒ㈱ 凍結乾燥機 Lyovapor L-300

日本ビュッヒ㈱はスイスに本社を置くBUCHIの日本法人です。凍結乾燥機はLyovaporシリーズがあります。中でもLyovapor L-300は最高位機種で、2つのコンデンサーが交互に動作し連続的な昇華を可能にした初のラボ用凍結乾燥機です。また冷却温度は業界トップレベルの-105℃です。

セル・ダイアグノスティックス合同会社

セル・ダイアグノスティックス合同会社は食品用の凍結乾燥機を展開しています。小型タイプなら100万円台〜手に入るので、企業の研究室はもちろん個人事業のお店や家庭用でも手が出せる価格帯です。全自動の温度制御でスタートボタンを押すだけで、フリーズドライ食品が完成します。食品用で初めての凍結乾燥機を検討しているなら、おすすめのメーカーです。

凍結乾燥機の使い方

凍結乾燥機は全自動のものも出てきていますが、一般的に次のようなプロセスで凍結乾燥は進みます。

  • 試料の形状に応じた容器を選ぶ(フラスコ・バイアル瓶・トレイ)
  • 予備凍結
  • 装置の準備(トラップの冷却)
  • 試料をセット
  • 真空ポンプの稼働
  • 一次乾燥の開始
  • 温度を徐々に上げて二次乾燥開始
  • 装置の停止
  • 試料の取り出し
  • 機器のメンテナンス

予備凍結は機器に機能が装備されていなければ、冷凍庫などに入れて凍結させます。不完全な予備凍結では、品質が劣化してしまうので、試料のすべてが均一に凍結しているかどうか確認しましょう。試料の融点や昇華温度を事前に調べて、機器の温度設定と真空度の最適化をします。初めて使用するときの温度設定については、メーカーに問い合わせたり、文献から条件を引用したりするのがおすすめです。

試料の取り出しは、ゆっくり大気圧に戻してから慎重に行ってください。雑に取り外しをしてしまうと、装置のトラップなどに溜まっている水や氷が試料に付着してしまいます。試料を取り出したら次回使用時に快適に使えるよう、正しく清掃してくださいね。

まとめ

凍結乾燥機のおすすめメーカーは次の10社です。

  • ㈱宝エーテーエム
  • 久保田商事㈱
  • タイテック㈱
  • 共和真空技術㈱
  • 東京理科器械㈱(EYELA)
  • ㈱佐久間製作所
  • ㈱スクラム
  • 朝日ライフサイエンス㈱
  • 日本ビュッヒ㈱
  • セル・ダイアグノスティックス合同会社

凍結乾燥機選びの悩んだら、これらのメーカーから検討するのがおすすめです。全て日本企業なので、丁寧な対応で最適な凍結乾燥機選びができるでしょう。分析計測ジャーナルでは、凍結乾燥機選びに関するご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。

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