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【2024年度版】ガスクロマトグラフィー(GC)のおすすめメーカー5選

2024.09.26 (Thu)

  • GC
  • ガスクロ
  • ガスクロマトグラフィー

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bunseki-keisoku

ガスクロマトグラフィー(GC)は、分析化学実験でよく取り入れられている機器です。以前からGCがある実験室も多いと思いますが、買い替えの時期に差しかかっていないでしょうか。GCは新機種も常に出てきており、日々進化しています。この記事ではGCの基礎から、おすすめメーカーと機種の特徴などを紹介します。紹介するメーカーは、世界のトップと日本の老舗メーカーなど5社です。さらに価格も調査しましたので、予算申請にお役立てください。

分析計測ジャーナルでは、GCの相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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ガスクロマトグラフィー(GC)の原理と活用分野

ガスクロマトグラフィー(GC)は、さまざまな工場や研究所・大学などで欠かせない分析機器の1つです。GCはガスをキャリアーにして成分を分離し、定量や定性分析ができます。GCの原理や分析事例を紹介しましょう。

ガスクロマトグラフィー(GC)の原理

ガスクロマトグラフィー(GC)は、試料を気化させ、キャリアガスとカラムで分離する分析方法です。GC装置の概要は以下の図のとおりです。

キャリアガスが流れているところに、熱して気化させた試料を注入。試料はキャリアガスによって、カラムへ送られ、固定相と相互作用をしながら進みます。試料中の成分は、固定相との親和性の違いによって移動速度が異なるので、成分が分離できるのです。検出器で出てきた成分を検出し、クロマトグラムに記録。キャリアガスに用いられるのは、ヘリウムがよく使われています。また水素や窒素も使われることがありますよ。

GCでは、定性・定量分析が可能です。ピークの保持時間から定性分析、ピーク面積から定量分析ができます。

ガスクロマトグラフィー(GC)で分析できるものは?分析事例も紹介

ガスクロマトグラフィー(GC)では、揮発性や半揮発性の物質が分析できます。分析できる物質の特徴は以下の3点。

  • 沸点が400℃以下
  • 気化する温度で分解しない
  • 気化するときに分解しても一定の分解物が生じる

GCでは、金属や塩類は気化しないので分析できません。また反応性が高く不安定なフッ酸やオゾンも厳しいです。GCに限ったことではありませんが、標準物質が存在しない物質も、定性・定量分析は難しいでしょう。

GCはさまざまな業界で活躍しています。分析事例を挙げてみました。

  • 環境分析:大気や水質中の有機汚染物質、揮発性有機化合物(VOC)の検出
  • 食品:食品中の添加物や残留農薬の分析
  • 医薬品:成分分析、純度分析、残留溶媒
  • 石油化学:石油製品の成分分析や品質管理

ガスクロマトグラフィー(GC)おすすめメーカー5選!人気機種と価格も

多くの実験室で導入されているガスクロマトグラフィー(GC)ですが、装置を製造しているメーカーは、実は世界でも少ないです。アジレント・テクノロジーが業界最大手で、島津製作所やサーモフィッシャーサイエンティフィックが、それに続きシェアを獲得しています。GCのおすすめメーカーを5社お伝えし、人気機種と価格も調査しましたので、購入検討にお役立てください。

島津製作所

島津製作所は、国内トップのガスクロマトグラフィー(GC)メーカーです。島津製作所のGCのおすすめポイントは、「高性能且つ使いやすい」、「サポート体制が充実している」の2つ。分析条件の設定が容易なので、分析初心者でも迷わず操作できます。また国内のサポートネットワークが充実しており、セミナーも定期的に開催されていますよ。

島津製作所のGCは、全部で3シリーズ販売されています。各製品の特徴は次のとおり。

「GC-2014」

出典:島津製作所 GC-2014

GC-2014は低価格なエントリーモデルですが、キャピラリカラムとパックドカラムの両方が使えて、コスパがいい機種です。シンプルなディスプレイは操作性がいいと評判があります。オプションにより検出器を変えられるので、幅広い用途に向いています。

参考価格:205万円〜

「Nexis GC-2030」

出典:島津製作所 GC-2030

Nexis GC-2030は、初心者がGCで苦戦するところをカバーしてくれる優秀な機種です。カラム取り付けに工具が必要なく、インサート交換の手間もワンタッチで簡単。機器に問題があるときは、2次元コードから復帰方法を提示してくれるので、使い慣れていなくても安心です。FID感度はシリーズ史上最高感度を誇ります。

参考価格:297万円〜

「Brevis GC-2050」

出典:島津製作所 ガスクロマトグラフ(GC)製品比較

Brevis GC-2050は、コンパクトさにこだわったGCです。幅350mmなので狭い実験台の片隅にも置きやすい。Brevis GC-2050は機器にモニターが付いておらず、操作はすべてPCからです。また省エネ設計で、消費電力が従来の約30%も削減できるのもうれしいポイント。自動オペレーション対応で、分析開始から終了までをリモートで操作できますよ。

参考価格:250万円〜

アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)

アジレント・テクノロジーは、世界的な分析機器メーカーです。ガスクロマトグラフィー(GC)は世界シェアNo.1。アジレントのGCは5機種販売されていますが、その中で汎用性が高く、評価のいい機種3つを詳しく紹介します。

「8850 GC システム」

出典:アジレント・テクノロジー 8850GC システム

8850 GC システムは見やすい操作画面とコンパクトな見た目で、従来のGCとは大きく雰囲気が異なります。業界最小クラスで、従来の半分の設置面積で済みます。操作画面より上が斜めに上がるので、カラム取り付け箇所がよく見えて作業しやすいです。8850 GC システムはアジレントの最新機種で、性能は十分あります。

参考価格:340万円〜

「Intuvo 9000 GC」

出典:アジレント・テクノロジー Intuvo 9000 GC

Intuvo 9000 GCは、測定が効率的にできる機種です。機器の側にいなくても、分析を開始し測定終了で自動停止します。時間のかかるカラム平衡化も、リモートで開始できれば昼夜関係なく実験できますね。電源は通常のコンセントが使えるので、特別な工事が必要ありません。また消費電力も従来機種の半分です。

参考価格:430万円〜

「8890GC システム」

出典:アジレント・テクノロジー8890 GC システム

8890GC システムは、GCシステムの状態をGC本体が自己診断し、トラブル回避ができます。GCを使い慣れていないと上手く測定ができなかったときに、GCシステムが原因なのか、サンプル調製が原因なのか判断が難しいこともありますよね。そんなときでも8890GC システムなら、機械の不具合は自己診断で教えてくれるので、GCシステムに起因する測定の失敗を防げます。

参考価格:410万円〜

サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)

サーモフィッシャーサイエンティフィックのGCは、TRACE1600シリーズを展開しており、1600と1610の2機種あります。

「TRACE 1600 GC」

出典:Thermo Fisher Scientific TRACE™ 1600シリーズガスクロマトグラフ

TRACE 1600 GCはシンプルな装置本体で、操作性抜群な機種です。高精度でありながら、価格を抑えたコスパのよいエントリーモデル。環境分析、食品の品質管理、製薬業界での基礎分析などで活躍しています。

参考価格:お問い合わせください

「TRACE 1610 GC」

出典:Thermo Fisher Scientific TRACE™ 1600シリーズガスクロマトグラフ

TRACE 1610 GCはサーモフィッシャーのGCを使い慣れていない人でも、簡単に使える機種です。中央の画面に装置のセットアップ方法の動画が出るので、難しいカラムの装着方法も簡単にできます。TRACE 1610 GCはシリーズの最上位機種で、リモート操作も可能です。

参考価格:お問い合わせください

パーキンエルマー(PerkinElmer)

パーキンエルマーでは、GC2400シリーズとClarus GCシリーズがあります。

「GC 2400」

出典:PerkinElmer GC 2400 ガスクロマトグラフ

GC 2400は脱着可能なタブレットでの操作ができ、実験室の外からもGCを始動できます。装置のセットアップは時間がかかるので、実験前にオフィスからGCを動かし、実験室に入ったらすぐにサンプル測定を始める、なんてこともできますよ。直感的に使いやすいインターフェイスなので、海外メーカーのGCでも使いやすいでしょう。インジェクターのメンテナンスも、工具不要で簡単です。

参考価格:お問い合わせください

「Clarus 690 GC」

出典:PerkinElmer Clarus 690 GC ガスクロマトグラフ

Clarus 690 GCは日本語対応のタッチパネルが搭載されているので、英語が苦手でも使いやすいGCです。緩やかにカラムオーブンを冷却する機能が搭載されており、カラムへのダメージを低減。従来品からインジェクターの構造が改良されており、分析精度が高くなりました。

参考価格:407万円〜

ジェイ・サイエンス・ラボ

ジェイ・サイエンス・ラボはガス測定機器に力を入れている、日本企業です。医療用やプロセス用などに特化したGCもあります。シェアは少ないものの、特定の測定をコスパよく行いたいなら、検討してよいメーカーです。

「システムガスクロマトグラフGAS5000」

出典:ジェイ・サイエンス・ラボ システムガスクロマトグラフGAS5000

GAS5000は省スペース設計されたGCです。できるだけ内部に配管や配線が入るようデザインされているので、実験台にすっぽり収まります。耐久性がありメンテナンスも簡単なので、初心者でも使いやすいでしょう。大手分析機器メーカーのGCに比べて価格が安いので、選びやすいですね。

参考価格:180万円〜

「全自動 ガスクロ AG-2」

出典:ジェイ・サイエンス・ラボ 全自動 ガスクロ AG-2

全自動ガスクロAG-2はプロセス用GCで、工場で活躍しています。耐久性があり、24時間連続運転も可能。検出器は最大3個、カラムは4系列装着でき、複数台のGCで分析していたものがこれ1台で済みます。プロセスモニタリングにGCを導入するなら、おすすめの機種です。

参考価格:500万円〜

ガスクロマトグラフィー(GC)でよく使われる検出器

ガスクロマトグラフィー(GC)では検出器選びが重要ですが、種類が多くどれが最適か選ぶのが難しいです。GCで使われる検出器は、汎用性の高いものと、特定の化合物を高感度で測定できるものに分かれます。汎用性の高い検出器は2つ。

  • 水素炎イオン化検出器(FID)
  • 熱伝導度型検出器(TCD)
  • バリア放電イオン化検出器(BID)

選択的ですが高感度で検出できるものは4つです。

  • 電子補足検出器(ECD)
  • 熱イオン化検出器(FTD)
  • 炎光光度検出器(FPD)
  • 化学発硫黄検出器(SCD)

多様な化合物を測定するなら、汎用性の高いもの。特定の低濃度化合物を感度よく測定したいなら、選択的高感度検出器を選びましょう。それぞれの検出器の特徴を詳しく紹介します。

水素炎イオン化検出器(FID)

水素炎イオン化検出器(FID)は、最も使われているGC検出器です。有機化合物の炭化水素成分(C)を高感度で検出します。ただしホルムアルデヒドなどのような、炭素(C)に酸素(O)が二重結合している炭素には感度がないので気をつけましょう。FIDは有機物が水素炎中で燃焼すると、その一部がイオンになり、コレクタにて検出できる、という原理を利用しています。

熱伝導度型検出器(TCD)

熱伝導度型検出器(TCD)は、無機物質や常温で気体の成分に適しています。全ての化合物で使えて、キャリアガスではないヘリウムや水素などに対しても検出可能です。FIDで測定できない化合物に用いられます。

バリア放電イオン化検出器(BID)

バリア放電イオン化検出器は、He、Neを除くすべての化合物を検出可能です。従来の検出器よりも高感度であり、これまではFID、TCDなどの汎用検出器では難しかった成分についても検出可能、さらに、長期安定性を保持します。

電子補足検出器(ECD)

電子補足検出器(ECD)は、ハロゲン化合物や窒素系化合物に高感度です。選択的高感度検出器で、測定成分が明確な場合に用いられます。ただし放射性同位元素が装着されているので、設置するには文部科学省へ届け出が必要なことを覚えておきましょう。

熱イオン化検出器(FTD)

熱イオン化検出器(FTD)は、アルカリ炎イオン化検出器とも呼ばれます。窒素やリンを含む化合物に対して、高感度なのが特徴です。農薬や医薬品の分析でよく用いられます。

炎光光度検出器(FPD)

炎光光度検出器(FPD)は、硫黄やリン、有機スズを含む化合物の検出に優れています。とくに硫黄化合物の定量に最適で、石油化学や環境分析分野で採用されることが多いです。水素炎中で発光する、元素特有の光を検出しています。

化学発硫黄検出器(SCD)

化学発硫黄検出器(SCD)は、硫黄化合物の検出に用いられます。硫黄化合物をオゾンにて励起状態にし、基底状態に戻る際の発光を検出する仕組みです。石油製品や環境サンプル中の硫黄化合物の分析に向いています。

引用:島津製作所 GC分析の基礎6.検出器

まとめ

ガスクロマトグラフィー(GC)のおすすめメーカーは、次の5社です。

  • 島津製作所
  • アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)
  • サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)
  • パーキンエルマー(PerkinElmer)
  • ジェイ・サイエンス・ラボ

価格帯は各社さまざまですが、日本企業の島津製作所とジェイ・サイエンス・ラボは比較的価格が抑えられて、性能も十分あります。

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分析計測ジャーナルライターバッハ

ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。

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