• HOME
  • 記事一覧
  • 全有機体炭素計(TOC計)のおすすめメーカー11選

お役立ち

全有機体炭素計(TOC計)のおすすめメーカー11選

2025.01.09 (Thu)

  • TOC
  • 全有機体炭素計

記事を書いた人 :

bunseki-keisoku

水の綺麗さを評価するのに欠かせないのが、全有機炭素計(TOC計)です。しかし初めてTOC計を導入する場合、どのメーカーがいいのか見極めが難しいですよね。また機種のラインナップも多くて選べないこともあると思います。

そこでこの記事ではTOC計メーカーのおすすめを11社紹介し、機種の特徴も紹介します。TOC計の基本や選び方もお伝えするので、失敗しないTOC計選びができるでしょう。分析計測ジャーナルでは、TOC計の相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはコチラ

全有機炭素計(TOC計)とは?

全有機炭素計(TOC計)について、そもそもTOCとは何なのかを解説し測定原理についても紹介します。原理を理解しておくと最適な機器を選びやすくなりますよ。

全有機炭素(TOC)は水質を評価する指標

全有機炭素計はTotal Organic Carbonを略してTOCと呼ばれており、水中の有機物の総量を示します。水の汚れ度合いを評価する水質指標の1つで、数値が高いほど有機物量が多く汚れている状態です。TOCは試料中の共存物質からの影響を受けにくいので、正確に水質を評価できる方法として広く使われています。

  • 環境モニタリング:河川や下水などの水質調査
  • 製薬業界:製造に使用する水の水質管理
  • 食品・飲料業界:製造に使用する水の衛生管理、洗浄水のモニタリング
  • 半導体・電子部品製造:洗浄工程で使用する水の水質を監視

TOC計は上記のような広い産業分野で活躍している機器で、私たちの生活を影で支えてくれているのです。

全有機炭素計(TOC計)の原理とタイプ

TOC計は大きく分けて2つの種類があります。

  • 燃焼酸化方式
  • 湿式酸化方式

燃焼酸化方式
燃焼酸化方式は、試料中の有機物を燃焼させて二酸化炭素を発生させ、発生した二酸化炭素量からTOCを算出する方法です。燃焼温度は650〜1200℃ほどの高温で、水に解けない物質でも評価できます。また試料中の共存物質の干渉も受けにくいメリットも。しかし一度に燃焼させる試料量に限界があるので、検出感度は少し劣ります。検出限界は4μg/Lほどで、比較的TOC値の高い排水や河川の環境モニタリングなどに最適です。

湿式酸化方式
湿式酸化方式は、酸化剤により有機物を酸化分解させて発生した二酸化炭素量からTOC値を求めます。燃焼酸化方式に比べて、緩やかな反応なので大量の試料を一度に評価できるので感度が高いのが特徴です。しかし水に溶解していない物質の測定は難しく、懸濁性物質が多い試料においては回収率が下がります。これらの特徴から湿式酸化方式は、TOC値が低く超純水を利用している製薬や半導体製造などの製造用水管理に有用です。

全有機炭素計(TOC計)の選び方

全有機炭素計(TOC計)はサンプルの状態とTOC濃度、測定場所によって最適な機器が異なります。TOC計の選び方について詳しく解説するので、初めての導入を検討しているなら参考にしてください。

サンプルの形状は液体か固体か?

サンプルの状態が液体か固体かによって、選ぶTOC計が異なります。

液体サンプルの場合
燃焼酸化方式・湿式酸化方式のどちらでも対応可能です。水質管理や製薬用水の分析においては検出限界値が低い湿式酸化方式のほうが、感度よく測定できるでしょう。

固体サンプルの場合
固体サンプルとは、土壌や廃棄物のTOC測定などがあります。測定できる機器は、TOC計は燃焼酸化方式のみが対象です。また粉砕や乾燥の前処理が必要な場合が多いです。

評価したいサンプルのTOC濃度はどれくらい?

数百ppm以上の高濃度TOCの場合、燃焼酸化方式が適しています。自動希釈機能付きのTOC計もあり、作業の効率化に役立ちます。1000ppmを超える高濃度サンプルは、目詰まりを防ぐ機能があるほうがいいでしょう。数十ppm程度の中濃度の場合や、濃度が大きく違うサンプルを測定したい場合は、測定レンジの広い機器を選んでください。

数ppb〜数十ppmの低濃度なら、湿式酸化方式がおすすめです。またキャリアガスの純度や配管材質にも注意が必要です。少しのコンタミが結果に大きく影響します。非常に繊細な機器になるので、バリデーションと定期的なメンテナンスも必要です。

分析する場所はオンライン?ラボ?

TOC計は測定場所に応じて3つの中から選べます。

  • オンライン分析
  • ラボ分析
  • ポータブル分析

オンライン分析では24時間連続監視ができて、異常の早期発見に役立ちます。自動採取や自動希釈、異常値検出時のアラート機能などがあれば、人が近くにいなくても常時モニタリング可能です。導入費用を抑えたいならラボ分析タイプが最適です。ラボ分析タイプは、詳細な設定ができて幅広いサンプルにも対応します。測定したいポイントが複数あるなら、ポータブルタイプも検討してみてください。ポータブルタイプはオンラインタイプのトラブル対応用としても活用できますよ。

全有機炭素計(TOC計)のおすすめメーカー11選

おすすめメーカー

全有機炭素計(TOC計)メーカーは国内外で多くあり、どのメーカーがいいのか選びにくいですよね。そこでおすすめメーカーを11社紹介するので、メーカー選びの参考にしてください。また各メーカーの機種の詳細も比較していますので、機器選定にも役立ちます。

㈱島津製作所

出展:㈱島津製作所 TOC-Lシリーズ

㈱島津製作所のTOC計は世界的にも評価が高いものばかりです。ラボ分析とオンライン分析の2種類があり、固体も測定できるタイプや低濃度TOCも測定できるもなど、幅広いラインナップになっています。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
TOC-Lシリーズ燃焼/ラボ据え付け4μg/L〜30000μg/Lまでの広いレンジが測定できる。全4機種で検出限界と操作方式が異なる。一番人気のシリーズで研究や品質管理などで納入実績多数。オートサンプラーや固体燃焼装置もオプションで取り付け可能。標準モデル:462万円〜
高感度モデル:519万円〜
TOC-Vwp湿式/ラボ据え付け検出限界0.5μg/Lの高感度TOC計。酸化剤とUV照射、加熱により強力な酸化分解を行う。
474万円
eTOCシリーズ湿式/オンライン検出限界0.1μg/Lの超高感度TOC計。超純水の連続監視ができ、製薬の製造ラインのモニタリングなどに最適。各国局方にも対応。303万円〜
TOC-4200燃焼/オンライン最短4分周期での測定。オプションにて前処理機能が付けられて、希釈機能もあり。排水の管理や浄水場での水質管理に適した機種。411万円〜

東レエンジニアリング㈱

東レグループの中核である東レエンジニアリング㈱では、幅広い用途で使える水質管理装置があります。中でもTOC-200シリーズは40年以上の実績があり、国内シェアトップのTOC計です。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
TOC-200シリーズ燃焼/オンライン・オフライン40年以上かけて培った技術を活かした人気機種。高濃度試料も全自動で希釈され分析できる。お問い合わせください
TNC-200シリーズ燃焼/オンライン・オフラインTOCとTN(全窒素)が同時に測定できる機種。全自動で希釈は最大20倍・4000mg/mLの高濃度に対応。(オプション)工業排水のモニタリングに最適。お問い合わせください
TOC-250L燃焼/ラボ据え付けオートサンプラ付きの全自動TOCの計。最大60検体まで自動で分析。希釈倍率2〜20倍で精度は±3%以内の高精度。お問い合わせください
TOC-780湿式/オンライン・オフライン超純水用のTOC計。自動連続測定機能があり、オンラインのモニタリング用に最適。お問い合わせください

㈱日立ハイテク

㈱日立ハイテクは世界トップの技術力を持つ日立製作所グループの企業で、高精度なTOC計が魅力です。これまでの技術と経験を活かして、半導体分野や製薬分野などで使われる高精度なTOC計が2機種あります。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
全有機炭素測定装置 TOC-2300湿式/ラボ据え付け定量限界10ppbの高感度。大きなカラータッチパネルで操作しやすい。低ランニングコストでメンテナンスも簡単。280万円〜
全有機炭素測定装置 TOC-2350湿式/ラボ据え付けTOC-2300をベースに、パソコン操作ができるようになったタイプ。高度な解析やレポート作成が簡単にできる機種。300万円〜

ベックマン・コールター㈱

出展:BECKMAN COULTER ANATEL PAT700

ベックマン・コールター㈱はライフサイエンス研究機器や分析機器を提供している世界的企業です。TOC計はANATEL PAT700があります。この製品は、精製水や注射用水のモニタリングに最適な機種で、各種局方にも適合しています。オンラインとオフライン兼用タイプで、湿式酸化方式です。直感的なインターフェースで、海外メーカーですが操作しやすくなっています。

参考価格:お問い合わせください

エレメンター・ジャパン㈱

エレメンター・ジャパン㈱はドイツに本社があるエレメンターグループの日本法人。元素分析のリーディングカンパニーとして、高精度なTOC計がそろっています。スタイリッシュなデザインの機器で、実験室で目を引く存在になるでしょう。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
acquray®湿式/ラボ据え付け最大40mLの大量試料をインジェクション可能。111検体セット可能なオートサンプラーで、大量サンプルも終夜運転。モジュールの追加でさまざまな水質指標が同時に測定できる。お問い合わせください
enviro TOC燃焼/ラボ据え付け排水用TOC測定機器。洗浄機能付きオートサンプラーで、コンタミを防ぎ高精度な分析ができる。お問い合わせください
soli TOC® cube燃焼/ラボ据え付け固体試料用のTOCの計。土壌中のTOCの測定に最適。検出限界10ppmの高感度。お問い合わせください
vario TOC cube燃焼/ラボ据え付けルーチン分析に適した機種。耐久性が高く、ランニングコストは低い。お問い合わせください

㈱アナリティクイエナ ジャパン

㈱アナリティクイエナ ジャパンは、ドイツに誕生した科学機器メーカーの日本法人です。高濃度から低濃度、固体も測定できるTOC計など、幅広い測定用途に対応した機種がそろっています。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
multi N/C 2300 シリーズ燃焼/ラボ据え付け粒子を含んだ試料も測定可能な機種。セプタムフリーの構造で、キャリーオーバーがない。お問い合わせください
multi N/C 3300 シリーズ湿式/ラボ据え付け超純水から高濃度の工場排水まで幅広い水質の測定に対応。TOCとTN(全窒素)の同時測定が可能で、水質分析の効率化に貢献。お問い合わせください
multi N/C 4300 シリーズ燃焼/ラボ据え付け超微量のTOC測定に適した機種。液体だけでなく固体も測定できる。お問い合わせください
multi N/C pharmamulti N/Cpharma HT:燃焼
multi N/Cpharma UV:湿式
両者ともラボ据え付け
医薬品のTOC測定に特化した機種。各種局方に適合し、バリデーションやデータ管理機能も充実。620万円〜

㈱ティ・アンド・シー・テクニカル

出展:㈱ティ・アンド・シー・テクニカル アキュラII TOC計

㈱ティ・アンド・シー・テクニカルは水質分析機器の開発・製造・販売において、日本の水質管理技術の発展に貢献してきた企業です。TOC計は豊富なラインナップが魅力です。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴特徴
アキュラII TOC計湿式/オンライン測定範囲が異なる3機種のシリーズで、超々純水からWFI(注射用水)までの水質管理に使える。操作が簡単でメンテンナンスフリー。お問い合わせください
エボリューションIII TOC計湿式/オンライン連続測定できるタイプ。試薬使用量を抑えられているので、ランニングコストが安い。高アルカリサンプルも測定できる上位機種も。お問い合わせください
アキュラmini α TOC計湿式/オンライン人気のアキュラシリーズの小型タイプ。少ないサンプル量と流量でも測定可能。ワンタッチスタートボタンで、誰でも使いやすい。お問い合わせください

日東精工アナリテック㈱

日東精工アナリテック㈱は水質分析装置や環境分析装置の開発・製造・販売を主な事業としており、とくにTOC計の分野では、国内外で高い評価を得ています。TOC計は湿式でオンラインとオフラインの2種類です。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
湿式UV酸化方式全有機炭素分析装置 QbD1200+湿式/ラボ据え付け製薬向けのTOC計で、データインテグリティ対応に必要な機能搭載。バリデーションやメンテナンス機能も充実で、GMP運用に最適。370万円〜
オンライン TOC計 Bio Tector B3500湿式/オンライン強力な酸化剤を用いた二段階湿式酸化方式で、前処理なしで測定可能。少ないメンテナンス回数でもバクテリア等の発生を抑制。お問い合わせください

セントラル科学㈱

セントラル科学㈱は創業以来70年以上にわたり水質分析における総合メーカーとして、環境保全と産業発展に貢献しています。TOC計はニーズに合わせたさまざまな機種がそろっており、あなたに最適な機器がきっと見つかることでしょう。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
Sievers TOC計
M9シリーズ
M9eシリーズ
M5310Cシリーズ
湿式/ラボ据え付け・M9シリーズ:製薬用
・M9eシリーズ:半導体用
・M5310Cシリーズ:飲料、排水用
測定時間が従来型に比べて半減、スピーディーで測定性能も向上。
・M9シリーズ:725万円〜
・M9eシリーズ:725万円〜
・M5310Cシリーズ:580万円〜
Sievers オンライン TOC計
M500型
M500e型
湿式/オンライン・M500型:製薬用
・M500e型:半導体用
旧モデルから分析時間が最大50%短くなり、より細かいモニタリングが可能に。
お問い合わせください
Sievers TOC計 InnovOx湿式(超臨界水酸化)/ラボ据え付け従来の湿式方式では酸化が難しかったサンプルも測定可能な、超臨界水酸化を採用。セルロースや高濃度塩水の測定に最適。お問い合わせください
Sievers TOC CheckPoint
Pharma/e
湿式/オンライン・ポータブルオンラインだけでなく持ち運べてラボなどでも使えるタイプ。TOCと導電率を測定。お問い合わせください

ハックジャパン㈱

ハックジャパン㈱は、世界最大級の水質分析機器メーカーであるHACH社(米国)の日本法人です。オンラインTOC計のラインナップが充実しており、工場や浄水場の排水モニタリングに多く採用されています。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
オンラインTOC計Bio Tectorシリーズ
B7000i
B7000
B7000i Dairy
B3500
湿式/オンライン・B7000i:標準モデル
・B7000:TN/TP同時測定
・B7000i Dairy:乳製品工場向け
・B3500:低濃度サンプル用
お問い合わせください
ラボ用TOC計 QbD1200+湿式/ラボ据え付け製薬や水道水などの水質管理に最適。各種ガイドラインに対応し、社内標準書を指標とすることも可能。お問い合わせください

メトラー・トレド㈱

メトラー・トレド㈱は精密計測機器のグローバルリーダーとして、研究開発から品質管理まで幅広い分野で革新的なソリューションを提供しています。TOC計はオンラインタイプとポータブルタイプの2シリーズです。

製品名
(製品名をクリックするとカタログにリンクします)
酸化方式/設置方法特徴参考価格
オンラインTOC分析装置湿式/オンラインオンラインに組み込めるTOCセンサ。測定範囲の異なる4タイプ展開。お問い合わせください
TOCセンサ450TOC湿式/ポータブル複数の測定ポイントに移動できるポータブルタイプ。USPなど各種局方に対応。お問い合わせください

まとめ

全有機炭素(TOC)とは水中の有機物総量のことで、水の汚れ度合いを評価する指標です。全有機炭素計(TOC計)のおすすめメーカーは11社あります。

  • ㈱島津製作所
  • 東レエンジニアリング㈱
  • ㈱日立ハイテク
  • ベックマン・コールター㈱
  • エレメンター・ジャパン㈱
  • ㈱アナリティクイエナ ジャパン
  • ㈱ティ・アンド・シー・テクニカル
  • 日東精工アナリテック㈱
  • セントラル科学㈱
  • ハックジャパン㈱
  • メトラー・トレド㈱

これらのメーカーは国内外で実績が豊富なので、TOC計選びに悩んだらこちらから検討するのはいかがでしょうか。また分析計測ジャーナルでは、TOC計選びに関するご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはコチラ


ライター名:バッハ
プロフィール:大手製薬会社において約8年間新薬の開発研究携わる。新薬の品質を評価するための試験法開発と規格設定を担当。さまざまな分析機器を使用し、試験法検討を行うだけでなく、工場での品質管理部門にも在籍し、製薬の品質管理も担当。幅広い分析機器の使用経験があり、数々の分析トラブルを経験。研究者が研究に専念でき、遭遇するお悩みを解決していけるよう様々な記事を執筆中。

記事をシェアする


記事を書いた人 :

bunseki-keisoku