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Nexeraシリーズの魅力とは?他社製品との徹底比較

2025.03.24 (Mon)

  • HPLC比較
  • Nexera特徴

記事を書いた人 :

bunseki-keisoku

Nexeraシリーズ アイキャッチ

研究において分析機器の選択は、成果の質や効率に直結する極めて重要なプロセスです。しかし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)市場には多くの製品があり、しかもそれぞれの特性や用途が異なるため、どれを選ぶべきか悩む研究者も少なくありません。

今回取り上げるNexeraシリーズは、その優れた性能と使いやすさで世界中の研究者に注目されています。本記事では、このNexeraシリーズの魅力を深掘りし、競合製品との比較を交えながら、最適なHPLCシステムを選べるよう解説していきます。

分析計測ジャーナルでは、高速液体クロマトグラフィー選びに関するご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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Nexeraシリーズとは?

画像出典:Nexeraシリーズ公式サイト

Nexeraシリーズは、精密機器のリーディングカンパニーである島津製作所が開発したHPLCシステムです。最大130MPaの高耐圧を実現したことで、高精度な分析ができるようになりました。一方で直感的な操作性を兼ね備えているので、初心者にも使いやすい設計となっています。

Nexeraシリーズは、初心者から熟練者まで幅広いユーザー層を対象に設計されており、幅広い業界・分野で活用されています。一部ではありますが、下表にNexeraシリーズがどのような分野で利用されているかをまとめました。もちろん、ここで取り上げた以外にも、さまざまな業界・職種での利用実績があります。

業界用途例
製薬薬剤の成分分析や品質評価、データ再現性が求められる新薬開発
食品アレルゲンや食品添加物の精密な成分分析
環境分析水質中の有害物質モニタリングや環境汚染物質の定量化
化学研究新規材料の特性評価やプロセスの最適化

Nexeraシリーズは、さまざまな用途に対して信頼性の高いデータを迅速に提供し、それぞれの課題解決に役立っています。

Nexeraシリーズの主なラインナップ

Nexeraシリーズは、研究の規模や目的に応じた多様なモデルを提供しています。以下に主なラインナップを紹介します。

  • Nexera XR
    Nexeraシリーズの基本モデルですが、極めて高精度な分析性能を発揮します。コンパクト設計で、小規模ラボや教育機関に最適です。
  • Nexera XS
    微量成分の検出感度を重視したモデル。特に複雑なサンプルを扱う際に真価を発揮します。
  • Nexera X2
    自動化技術を最大限に活用し、大規模な製薬施設や産業用途に対応するハイエンドモデルです。

Nexeraシリーズの特長

画像出典:Nexeraシリーズ-特長

Nexeraシリーズは、HPLC市場の中でも際立った分析性能を誇ります。その特長について詳しく解説します。

高い分析能力

Nexeraシリーズは、ピコグラム(pg)レベルの微量成分でも正確に検出可能です。例えば、新薬開発において、主要成分や不純物の極微量な濃度差を正確に評価できます。

また、複雑なサンプルを短時間で分離できるので、食品業界や環境分析において非常に役立ちます。食品添加物やアレルゲンの複数成分を一度に分離・定量し、分析時間の短縮と精度の向上を同時に実現しました。

そして、単に高精度分析ができるだけではありません。従来のHPLCシステムと比較して、Nexeraシリーズは処理速度が大幅に向上しています。特に製薬業界では、分析プロセスの迅速化が新薬の市場投入スピードを左右するため、Nexeraの高速性能が高く評価されています。

この結果、研究者が短期間で高精度の結果を得られるようになり、データの信頼性と再現性が大幅にアップしました。

業務効率の向上

Nexeraシリーズでは作業時間が大幅に削減できるため、業務の効率アップにつながります。
従来のHPLCシステムでは、1回のサンプル測定に1時間以上かかるのも珍しくありません。しかしNexeraシリーズでは、同じ作業を30分未満で完了できるようになりました。

キーワードは「自動サンプル処理」と「リアルモニタリング(データ取得の高速化)」です。

自動サンプル準備機能

自動サンプル準備機能は人為的ミスを最小限に抑えられるので、再分析の手間を削減します。複雑な試料前処理が必要な場合でも、Nexeraシリーズなら自動で処理。その分、他の作業に時間をさけるようになります。

1回の操作で複数サンプルを連続処理できるため、製薬施設や大規模研究所での作業効率がアップ。大量のサンプル処理が必要な臨床試験では、非常に役立つでしょう。

リアルモニタリング

AIを搭載しており、測定中に異常が発生した場合、即座に通知します。装置の稼働状況を常に把握でき、無駄な停止時間のカットに役立ちます。

次にどのように動くべきかを素早く判断できるようになり、作業効率アップに役立つでしょう。

初心者でも使いやすい操作システム

Nexeraシリーズの特徴として、直感的に使える操作性が挙げられます。

HPLCはさまざまな用途に使える非常に便利な分析機器ですが、その分複雑で初心者が使いこなすためにはある程度トレーニングを積む必要があります。しかしNexeraシリーズは、シンプルな操作画面にこだわっており、初心者でもどこを操作すればよいか迷うことがありません

ガイド機能も充実しており、熟練者がつきっきりで教え込まなくてもいいように設計されています。そのため、限られた人員で作業を進めないといけないという環境でも、NexeraシリーズのHPLCシステムならスムーズに作業に取り掛かれます。

環境配慮型デザイン

現代の研究環境では、エネルギー効率や環境負荷の軽減もポイントです。Nexeraシリーズは環境配慮の観点でも他社製品をリードしています。

省エネルギー性能

Nexeraシリーズは、ランニングコストカットにも配慮されており、従来のHPLCと比較してエネルギー消費を20%以上カット。

また精密設計により、溶媒使用量を最小限に抑え、従来のシステムと比較して廃液量を30%削減しました。さらに溶媒使用量が減ることで、カラム劣化が抑えられます。

SDGsに配慮した設計

環境配慮型材料の採用や、長寿命化を考慮した構造設計により、NexeraシリーズはSDGs(持続可能な開発目標)を視野に入れた研究環境に最適です。

高速分析が可能なため、溶媒消費量すなわち廃液量を削減できます。従来モデルより30%カットを実現したので、環境への負荷が抑えられるだけでなく、溶媒の購入頻度も下げられます。

そしてNexeraシリーズは省電力設計となっており、年間電力使用量を大幅カット。エコという観点から見ても、Nexeraシリーズはたくさんのメリットがあります。研究成果の向上だけでなく、地球環境への配慮も実現するNexeraシリーズは、次世代の研究者が求める「責任ある選択肢」として広く支持されています。

徹底比較!Nexeraシリーズと他社製品のスペックの違い

ここまでNexeraシリーズの優れた点を見てきましたが、実際のところ他社製品と比べてどのような違いがあるのでしょうか。そんな疑問に答えるべく、主要メーカーの製品と比較してみました。今回取り上げるのは以下の3つです。

  • Waters「ACQUITY UPLC」シリーズ

グローバル分析機器メーカーとして確固たる地位を築いているWaters。今回は超高速液体クロマトグラフィーの「ACQUITY UPLC」シリーズを取り上げました。

  • 日立ハイテク「Chromaster」シリーズ

日立のChromasterシリーズはコストパフォーマンスに優れたHPLCシステムで、特に国内でのサポートが充実しています。

  • Agilent「Infinity Ⅲ」シリーズ

AgilentのInfinity Ⅲシリーズは高スループット(大量処理)性能に優れたHPLCシステムで、特に製薬業界や品質管理用途に強みを持ちます。

項目NexeraシリーズACQUITY UPLCシリーズChromasterシリーズInfinity Ⅲシリーズ
分析精度高感度・高分解能で微量成分や複雑な混合物の解析可能高分解能と感度に優れ、特に高速分析が得意標準的な感度・分離性能で汎用性が高い高感度・高分解能、特に大量のサンプル処理が得意
自動化技術サンプル準備・測定・データ解析まで一貫して自動化可能自動化技術は優れているが、使いこなすには慣れが必要一部自動化対応優れた自動化技術を持ち、大量のサンプル処理に対応
操作性直感的で簡単なインターフェース経験者向けシンプルな操作性で、初心者から経験者まで使いやすいシンプルな操作性
環境への配慮廃液削減・省エネ設計環境面での配慮は標準的環境面での配慮は標準的溶媒消費量を抑えた設計
ランニングコスト省エネ設計に加えて消耗品が長持ち初期投資は低いが、消耗品やメンテナンスコスト高め標準的標準的
サポート体制全国各地に支店ありサポートはあるが、地域によって格差あり国内中心にきめ細やかなサポート体制ありグローバルなサポート体制が充実

それぞれの機種の特徴は、以下の通りです。

Nexeraシリーズの特徴

Nexeraシリーズは、高精度分析と省エネ設計、優れた操作性を兼ね備えたHPLCシステムです。Shimadzuの技術力を活かし、研究機関や企業における持続可能な運用をサポートする機能が充実しています。

  • 高感度・高分解能
    • 微量成分の検出に優れ、食品、環境、製薬分野での高精度分析に適している。
    • 高性能カラムと独自の検出器により、極微量の成分も正確に定量。
  • 高度な自動化機能
    • サンプル調製・分析・データ解析を一貫して自動化し、研究者の負担を軽減。
    • 自動エラー検出機能やリアルタイムモニタリングにより、測定の精度を維持。
  • 環境負荷の軽減
    • 従来のHPLCと比較して溶媒使用量・廃液量を30%以上削減
    • 廃液処理コストを抑えながら、環境規制が厳しい研究施設にも対応可能。
  • 省エネ設計
    • 消費電力を従来より20~30%削減するエコモードを搭載し、長時間の運用でも省エネ効果を発揮。
    • 研究機関の運用コストを抑えつつ、持続可能な分析環境を構築。
  • 使いやすさにこだわった仕様
    • 直感的な操作が可能なGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を採用し、初心者でも扱いやすい。
    • ガイド機能が充実しており、HPLCに不慣れな技術者でもスムーズに測定を開始できる。
  • 充実したサポート体制
    • 全国に支店を持ち、迅速に対応してくれます。
    • 導入後のトレーニングや技術サポートも充実しており、長期間にわたる安定した運用が可能。

ACQUITY UPLCシリーズの特徴

ACQUITY UPLCシリーズは、UPLC(超高性能液体クロマトグラフィー)技術を採用した最高レベルの分離能と短時間分析が特徴です。

  • 超高圧対応で高分離能を実現
    • 小型粒子カラムを使用し、従来のHPLCよりも高い分離能。
    • 複雑なサンプルを短時間で高精度に解析。
  • 製薬業界での規制対応に強い
    • FDA(米国食品医薬品局)のガイドラインに準拠し、厳格な品質管理に対応。
    • 医薬品の研究開発や製造工程管理に最適。
  • 使いこなすには慣れが必要
    • 自動化技術は導入されているが、経験者向け仕様。
    • 特定の操作は手動で行う必要あり。

日立Chromasterシリーズの特徴

  • 初期投資を抑えたコストパフォーマンス重視
    • 高機能HPLCと比べて導入コストが低く、予算が限られた研究機関に適している。
    • 消耗品やメンテナンス費用も標準的な範囲内で、コスト管理がしやすい。
  • 操作がシンプルで初心者向け
    • 直感的なインターフェースを採用し、HPLC初心者でも扱いやすい設計。
    • 標準的なHPLC操作をスムーズに実施可能。
  • 国内向けのサポート体制が強み
    • 日本国内の研究機関や企業向けに迅速な対応が可能で、安定した運用が期待できる。
  • 環境配慮は標準レベル
    • 省エネ・廃液削減機能は特別に強化されていないが、一般的な環境基準を満たしている。

Agilent Infinity Ⅲシリーズの特徴

  • 高速分析が可能
    • 高スループット設計により、短時間で大量のサンプルを処理可能。
    • 生産現場や品質管理部門での迅速な測定に適している。
  • 多彩なカラム互換性
    • 多種多様なカラムと互換性があり、さまざまな分析ニーズに対応できる。
    • 既存のHPLCシステムと互換性があるため、導入のハードルが低い。
  • 堅牢な設計で耐久性が高い
    • 長期間の運用を前提に設計されており、頻繁なメンテナンスが不要。
    • 大規模ラボや高負荷環境での使用に適している。
  • グローバルなサポートネットワーク
    • 欧米圏を中心にサポート体制が充実しており、世界中の製薬企業・研究機関で広く導入されている。

HPLCの選定は、分析の目的やラボの規模、運用コストを考慮して決定する必要があります。

  • 精密な分析・環境負荷の低減・長期運用コストの削減を重視するなら→「Nexeraシリーズ」
  • 大量処理・スピードを重視するなら→「Agilent Infinity Ⅲシリーズ」
  • 最高レベルの分離能と規制対応を求めるなら→「Waters ACQUITY UPLC」
  • コストパフォーマンスと国内サポートを優先するなら→「日立Chromasterシリーズ」

それぞれの特長を理解したうえで研究目的に最適なHPLCシステムを選択してください。導入を検討する際には、ランニングコストやサポート体制も考慮するとよいでしょう。

まとめ

Nexeraシリーズは、高い性能と柔軟な操作性、優れたコストパフォーマンスが強みです。大量のサンプルを処理したい、初心者でも使いやすいシステムを探している、という方にはぜひおすすめしたい機種です。もちろん、他社製品にもそれぞれの特徴がありますので、用途や予算に応じて最適なHPLCシステムを選ぶ際の参考にしてください。

分析計測ジャーナルでは、高速液体クロマトグラフィー選びに関するご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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ライター名:西村浩
プロフィール:食品メーカーで品質管理を10年以上担当し、HPLC・原子吸光光度計など、さまざまな分析機器を活用した試験業務に従事。現場で培った知識を活かし、分析機器の使い方やトラブル対応、試験手順の最適化など執筆中。品質管理や試験業務に携わる方の課題解決をサポートできるよう努めていきます。

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